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地球の肺を守ろう~コンゴ熱帯雨林保護の最前線から(4)秘境をめぐる過酷な森林資源調査=大仲幸作

キサンガニの町を砂ぼこりを上げて走るバス=2019年2月(大仲幸作さん提供)

 コンゴ民主共和国に赴任して約4カ月が過ぎた2019年2月、コンゴ盆地の心臓部に位置する国内第3の都市キサンガニまで初出張することになりました。出張の目的は森林資源調査への支援と木材伐採現場の視察です。

     森林資源調査は、コンゴ盆地の熱帯林が、気候変動の要因となっている温室効果ガス(二酸化炭素、メタン等)をどれだけ蓄積し、また破壊が原因でどれだけ放出しているのか、といったことを把握するために行われます。一定の面積に生育しているすべての樹木について、その種類を特定し、直径や高さなどを計測するという大変面倒な調査です。この調査では、調査箇所を選ぶ際に道路事情や地形などは全く考慮されません。アフリカ大陸最後の秘境であるコンゴ盆地において、地図上で無作為に選ばれた地点に実際に出向いて調査は行われます。

     今回は環境省で五つの調査チーム(各チーム5人)を編成し、5地点でこの調査を実施しました。調査期間は約2週間です。首都キンシャサから中継地点であるキサンガニまで約2時間ほど小型機で飛び、キサンガニで体制を整えてから、あるチームは小型ボートで丸一日かけてコンゴ川を下り、またあるチームはオートバイで未舗装道路を数百キロ走破しながら調査地点まで向かう計画です。

    オートバイで渡河する調査メンバー(コンゴ民主共和国環境・持続可能開発省提供)

     調査チームと一緒にキサンガニに到着した私に対し、さっそくキサンガニのあるチョポ州のコンスタン・ロマタ州知事から呼び出しがかかりました。到着後、空港の改修、主要道路の舗装やホテルの建設など、キサンガニでの中国企業の圧倒的な存在感に衝撃を受けていた私は、彼に対してコンゴ盆地を保全することの重要性と合わせて、「中国だけがあなたの州を支援しているわけではない。日本もこうして支援を行っていることを、ぜひわかってほしい」と訴えました。最初は携帯を片手に何となく話を聞いていた彼が、最後には身を乗り出して、私の目を見て話をしてくれるようになりました。いきなり呼び出され、2時間ほど待たされたあげくの面会でしたが、その意義はあったと感じました。

     知事への表敬を終えると、小型ボートの燃料の確保から、移動手段であるオートバイの契約、そして村の部族長(当地ではチーフと呼ばれています)への贈り物の買い出しまで…まるで戦場さながらの調査準備を終えて、数日後の朝、何とか各調査チームを調査地に向けて送り出すことができました。

    中国企業が建設中のホテル=2019年2月、キサンガニ市街で(大仲幸作さん提供)

     気候変動を引き起こす温室効果ガスの約2割は、途上国での熱帯林破壊とそれに伴う農業、畜産などの産業活動などが原因となって排出されているとされていますが、そのための基礎データは、こうした非常に地道で過酷な調査活動を通じて収集されているのです。南米アマゾンと並び「地球の肺」と呼ばれる、ここコンゴ盆地の熱帯林の動態を把握するために、国際協力機構(JICA)は国連機関などとも連携しながらコンゴ環境省の取り組みを支援しています。(つづく)


    大仲幸作(おおなか・こうさく)1999年に農林水産省入省。北海道森林管理局、在ケニア日本大使館、農水省国際経済課、マラウイ共和国環境省、林野庁海外林業協力室などを経て、2018年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザー(JICA専門家)としてコンゴ民主共和国環境省に勤務。

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