
いわゆる「右翼本」ブームらしい。東京裁判でA級戦犯として起訴された思想家、大川周明らの本が売れている。
大川の著書を多く手掛ける毎日ワンズ社では一昨年出した新書版「日本二千六百年史」の売れ行きが好調で、今年は「大川周明『世界史』」も刊行した。
毎日新聞記者から出版界に入った松藤竹二郎社長が言う。「たとえば1970年代なら大川の本は出版も難しかった。世の中が右寄りになって、彼の評価も変わってきたのでしょう」
日本女子大を訪ねた。「大川周明 イスラームと天皇のはざまで」の著書がある臼杵陽(うすきあきら)教授は「大川には国家主義者というだけでは割り切れない顔があります」と言う。世相の変化とは別に、イスラムへの傾斜が大川の相貌を複雑にしている。
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