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プラ製レジ袋の有料化 「全廃」を見据えた議論に

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 プラスチック製レジ袋の有料化に環境省が乗り出す。新たな法令を設け、スーパーやコンビニなどで買い物客への無料配布を禁じる。2020年をめどに全国一律の規制実現を目指す。

 日本は、国民1人が毎日1枚ずつ使い捨てている「レジ袋大国」だ。ごみになったレジ袋の一部は川から海へ流れ出して分解されずに漂い続け、誤ってのみ込んだ海洋生物の命を危険にさらす。06年に有料化が検討されたが、業界の強い反対で見送られた。今回は一歩前進だ。

 有料化の際の価格は各事業者が決める。収益は地域の緑化活動や環境対策に使うよう要請する。今後、関係団体との協議を始める。

 ただ、有料化がすぐにレジ袋削減につながるかどうかは不透明だ。

 価格を高くすれば客離れが起きるのではないかと事業者はためらう。安くすれば「面倒だから買って済ませよう」と考える消費者が増え、レジ袋は減らないとの懸念もある。

 富山県は08年から全県で無料配布を廃止し、10~20%だったマイバッグの持参率が95%に上がった。削減効果は約14億枚に上り、使い捨てを控える行動も根付いたという。しかし10年がかりの成果であり、都市型の生活様式での効果は未知数だ。

 世界の常識は「ノーレジ袋」だ。フランスは16年に使用を禁止した。アフリカ諸国やインド、中国など40カ国以上が使用を厳しく制限している。欧州連合(EU)はレジ袋を含む使い捨てプラスチック全般を禁止する。そこまで厳格ではないが、レジ袋に課金する国も既に20カ国以上あり、日本の周回遅れは明白だ。有料化からさらに踏み込んで「全廃」を見据えた議論が必要ではないか。

 原田義昭環境相は「レジ袋有料化は(プラスチックごみ対策の)象徴となる」と述べた。年間約900万トン発生するプラごみの中で、レジ袋の割合は数十万トンと1割以下だ。レジ袋を削減するだけでは抜本的な解決にはつながらない。日本国内で持て余したプラごみの処分を海外に頼る現状を打開するためにも、総量を減らす必要がある。

 15、16日には長野県で主要20カ国・地域(G20)環境相会合が開かれる。議長国としてプラごみ削減への機運につなげてほしい。

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