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ハンセン病元患者の家族561人が国家賠償と謝罪を求めた訴訟の判決が言い渡される。国は元患者への救済策を進めてきたが、家族については救済の対象外としてきた。しかし、家族もまた差別や偏見の目にさらされてきた。ひた隠しにしてきた被害を法廷で明かした人たちの訴えは、司法に届くのか。
6・28ハンセン病家族訴訟判決/下 官民で奪った患者の未来 語り継ぐ、市民の責任
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「私たち一人一人が、家族の被害を生み出してしまったという、加害者としての責任はないのでしょうか」。3月に東京都内で開かれたハンセン病家族訴訟の集会。弁護団代表の徳田靖之さん(75)は200人超の参加者に語りかけた。国だけでなく、かつて「無らい県運動」に協力した市民の責任も見据えるべきだ--。徳田さんの問題意識だ。
患者を地域から一掃し、療養所に入所させようとした官民一体の無らい県運動は戦前戦後と続いた。教師や住民が患者を発見し通報する役割を担い、その過程で「強烈な伝染病」という偏見が社会に植えつけられ、家族はばらばらにされた。
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