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アンモニアというと、刺激臭が連想されるが、実は化学肥料の原料として重要な物質だ。その新たな合成法を目指す研究が注目を集めている。今の方法は100年以上前に開発・実用化されたが、エネルギーの大量消費などが課題だ。研究の最前線に迫った。【柳楽未来】
●従来は高温・高圧下
アンモニアの分子は、窒素原子1個と水素原子3個でできている。「アンモニア臭」と呼ばれる刺激臭の印象が強いが、作物の大量生産に必要な化学肥料の原料として、人類を支えてきた。
19世紀末、人口増加に伴う食糧の不足が問題になっていたヨーロッパでは、人工的にアンモニアを大量に合成できる手法の開発が求められた。しかし自然界でアンモニアを合成できるのは、マメ科の根に生息する菌くらいだ。空気中の窒素分子は、窒素原子同士が「三重結合」という強い結合でつながっており、切り離すのは難しい。
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