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「週末はフィンランドでサウナ」 深夜便に旅行会社も熱視線

ヘルシンキの人気サウナ施設「ロウリュ」では、水風呂のかわりに、バルト海に飛び込む=フィンランド政府観光局提供

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 これまでアジア中心だった“週末弾丸旅行”に変化が起きそうだ。フィンランドの航空会社「フィンエアー」が4月から関西国際空港(関空)発でヘルシンキ行き深夜便を開始。土日と組み合わせれば平日に2日休むだけでオーロラ観賞や北欧デザインを楽しむ旅ができるとあって、旅行会社が熱視線を送っている。週末韓国エステや週末台湾グルメのように、週末フィンランドサウナもできるかもしれない。旅行会社の弾丸視察旅行に同行した。【中嶋真希】

機内のイメージ=フィンエアー提供

 ムーミンやサウナで知られるフィンランドは、約9時間半で行ける「日本から一番近いヨーロッパ」だ。フィンエアーが始めた深夜便は、早朝にヘルシンキに到着するため、無駄なく時間を活用できるのが売りだ。10月26日までの期間運航で、月木土の週3便。水曜の深夜に出発して日曜夕方に帰国すれば、土日と合わせて平日に2日休むだけでフィンランドに行ける。深夜便は関空発のみだが、帰国便は午前8~9時に成田、名古屋、福岡に到着する便が選べる。フィンエアー大阪支店旅客営業部クライアントマネジャーの北野憲さん(38)は、「1カ月運航して、観光客の利用が多かった。日程が限られている出張にも活用してもらえるのではないか」と期待する。

 週末に韓国でエステを堪能したり、台湾でグルメを味わったりという旅はすでに定番となっているが、「週末に本場のサウナに入る」旅は可能なのか。深夜便を体験する旅行会社向けの研修旅行に同行した。

深夜便は満席「需要ある」

 金曜日に仕事を終えると、羽田空港を午後9時過ぎに出る便で関西国際空港に行き、午前1時25分発の便で出発。土曜の現地時間午前5時40分にヘルシンキに到着した。視察に参加した日本旅行の西日本海外旅行統括部団体チーム課長の上野友也さん(52)は「満席だった。需要がある」と驚く。「この便をどうやって売っていこうか」と早速プランを考えていた。

朝のヘルシンキ市街地。店はまだ開いていないが、静かで散歩にはぴったり=中嶋真希撮影

 視察に参加したのは、旅行会社5社の5人。フィンランドは、どんな客層に人気があるのだろうか。北欧専門の旅行会社「ツムラーレ」大阪支店長、澤井宣宏さん(46)は「マリメッコなど北欧デザインが女性に人気で、“フィンランド女子”という言葉もあるほど。治安がいいことから、教育関係者からの注目も高く、修学旅行や短期の英語留学としても人気が高まっている」という。法人の研修旅行を多く手がけることが多いという上野さんは「福祉関係の視察も多い。中でも関心が高いのが『ネウボラ』。ショッピングモールに病院や託児所を集めて、地域で介護、子育てをしようという仕組みで、視察に訪れる自治体は多い」という。

汗かいて 水風呂代わりのバルト海

 視察旅行は、3日間の行程で行われた。丸々過ごせるのはたったの2日。限られた時間でサウナを満喫することはできるか。

ラテにはムーミンのキャラクターが=中嶋真希撮影

 到着してしばらく街を歩く。フィンランドで撮影された登坂広臣さんと中条あやみさん主演の映画「雪の華」のロケ地を見て、ムーミンカフェでお茶をしたら、2016年に開業したおしゃれな人気サウナ施設「ロウリュ」へ。サウナとレストランが併設されており、現地の若者や観光客でにぎわう。「人気で、予約するのがおすすめ。サウナブームで、最近は海外からの観光客も増えている」と北野さんは言う。レストランも満席。ワッフルとサラダを食べ、待ちに待ったサウナへ向かった。

 海沿いにあるため、サウナで汗をかいたら水風呂ではなくバルト海にそのまま飛び込む。日本の水風呂は水温18度程度が一般的だが、バルト海のこの日の水温は6度。フィンランド人は余裕の表情で飛び込むが、日本人は悲鳴を上げながら入る。真冬の水温は、2度ほどになるとか。何度も入るうちに慣れ、泳ぐ余裕もできた。

 サウナを出て、「どうでした?」と笑顔で迎えてくれたのは、この日視察ツアーを案内してくれたガイドのアレクシ・ヤルベラさん(39)。現地で日本語の通訳やガイドとして活躍している。ヤルベラさん、サウナの話になると特に熱が入る。「フィンランド人にとって、サウナは体と心を清める神聖な場所。大切な話をする前はサウナに入るといいと言われており、国会議事堂にもサウナがある。『サウナの神が怒るから、中では走ったり騒いだりしてはいけない』と厳しくしつけられる」。そういえば、現地の人たちはじっと座って静かに汗をかいていた。

バルト海沿いにある人気サウナ施設「ロウリュ」。はしごで海の中に入る=フィンランド政府観光局提供
ヘルシンキ名物「サウナ観覧車」。一部のゴンドラがサウナになっている=中嶋真希撮影

 ヤルベラさんは「日本人にも夏小屋文化を知ってほしい」と力説する。「フィンランド人は、1カ月の夏休みをサウナ付きの別荘で過ごす。静かな森の中で、湖とたき火の音だけが聞こえる」とその魅力を力説する。フィンランドの神髄に触れるには、週末旅行では厳しいか。

「“女子旅”イメージ変わった」

 サウナを出たら、空港へ。ヘルシンキから1時間ほど飛行機に乗り、サンタクロース村があることで有名な北部のラップランド地方へ向かう。スキーリゾートのレビで宿泊。翌日は1時間ほどスキーを楽しんだ後、究極のサウナ体験に挑戦した。屋外にあるサウナ小屋で体を温め、凍った川の水に飛び込む「アバント」だ。サウナでしっかり汗をかいた後、外へ飛び出し、水温1度の川の中へ。静かな森の中に参加者の叫び声が響くほどの冷たさだったが、外に出ると体がポカポカと温まってくる。これは本場でしかできない体験だ。

サウナで温まった後に、凍った川に飛び込むアバント=中嶋真希撮影

 弾丸旅行を終えて、「北欧はショッピングを楽しむ“女子旅”のイメージがあったが、にぎやかな男子グループの旅にもいい。サウナから凍った水に飛び込むのは、いい経験になるはず。次の卒業旅行シーズンにすすめてみたい」と話していたのは、JTBトラベルゲート神戸三ノ宮の店長代理、野口綾子さん(43)。ちなみに、「これまでサウナは温泉にあれば入る程度だった」という野口さんは「すっかりはまった。フィンランドのサウナは蒸気で一気に温度が上がるから、イラチな関西人にもぴったり」と笑っていた。

フィンランド北部では、冬の間シベリアンハスキーの犬ぞりも楽しめる=中嶋真希撮影

 月曜の昼過ぎにレビからヘルシンキに戻り、帰国の途へ。火曜の朝に成田空港に到着し、一度帰宅して午後から出社した。機内で1泊、ホテルで2泊という強行スケジュールだったが、それでも本場のサウナを満喫することができた。もう1日あれば、さらにゆっくりと過ごせるだろう。関空発の深夜便は、来年も運航予定。定着すれば、サウナ愛好家の“サウナー”が増えるかもしれない。

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