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旭化成 陸上部員は正社員雇用 企業内で一流ランナー育つ

延岡での陸上記録会「ゴールデンゲームズinのべおか」にボランティアで参加する大野さん(右)。この恒例のスポーツイベントは、1990年、グラウンドの改修記念大会として始まった=延岡市で2019年5月4日13時31分、田崎春菜撮影

 宮崎県延岡市を拠点に活動する旭化成陸上部は、今年度で創部73年目を迎えた。3連覇中の全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)では、歴代最多の24回の優勝を誇り、五輪でも多くの代表選手を輩出。地域の声援を受け戦っている。なぜ「長距離王国」とも呼ばれる強豪を築くことができたのか。その秘密を探った。

 ――旭化成陸上部総監督・宗猛さん(66)と後輩で教え子の谷口浩美さん(59)は現役時代、会社では福利厚生部門で一緒に勤務していた。宗さんは社内のスポーツ大会の運営なども手がけていたという。

 宗猛さん そういう仕事をやると、工場などの多くの現場の人と話をすることができた。「頑張れよ」と声をかけてもらい、モチベーションが上がった。

 ――地元では旭化成グループ社員有志や市民ら約800人による後援会があり、陸上部の活動を支えている。2017年から後援会長を務める大野勝則・旭化成メディカルプラノバ生産本部長(53)は、選手たちの努力を身近で見ている一人だ。

 大野さん 同じ職場に世界で戦う選手がいて、その選手が仕事も競技も一生懸命頑張っている姿に元気をもらえる。勝てばうれしくなり、仕事でのモチベーションもあがる。職場では選手たちの親世代の職員も多いので、息子が戦っているような気持ちにもなる。私は20代のころ谷口さんと同じ職場だった。谷口さんが世界陸上で金メダルを獲得し帰ってくると、職員一人一人にメダルをかけてくれた。それがとてもうれしくて。また、選手たちがメダルをかけてくれるのを楽しみにしている。

 ――旭化成陸上部50年史「激走」には、身近にアスリートがいることについて「苦しい鍛錬に耐えながら、黙々と努力を続けた者だけが、栄光の座を勝ち取ることができるということが、仕事の上でも共通してくる」(50年史より)と書かれている。

 今年4月の入社式後の記者会見で、旭化成の小堀秀毅社長は来年の東京五輪・パラリンピックに向けた陸上部、柔道部への期待を熱く語った。「スポーツは活力を生み出し活気をもたらす」。選手の活躍が会社に活気をもたらし、社員同士でお互いモチベーションを高め合う。そういう関係が長い歴史の中で築かれた。

 旭化成は1990年、陸上部の練習用グラウンド「レーヨン陸上競技場」を全天候型舗装のトラックに改修。練習設備を整えたことに加え、部員は正社員として雇用し、安定した環境で競技に打ち込めるようバックアップしている。

 谷口さん これだけ、陸上部が強くいられるのは、会社が苦しい時でもバックアップし続けてくれるからだと思う。それに、社会人として自分を律することができる。

 ――「激走」には、陸上部の伝統の一つとして「無名の選手が、当社に入社してから一流のランナーとして育っていく。いわば、企業の中でランナーが生まれ、育つということ」と書かれてある。プロスポーツにおける契約選手とは違う理念と手法がそこにはある。

 一方、2000年代に入り、日本の会社や社会のあり方が変わった。旭化成のチームは2000年代に入ると、全日本実業団対抗駅伝競走大会の優勝から遠ざかることになる。

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