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23歳元ロッテ選手が選手会事務局に入社 多忙な日々「やりがいがある」

プロ野球選手会に就職した肘井さん=2019年5月10日午前11時42分、東京都内で中村有花撮影

 プロ野球の選手会事務局に今年、10年ぶりに男性の新入社員が入社した。昨年まで5年間、プロ野球・ロッテでプレーした肘井竜蔵(ひじい・りゅうぞう)さん(23)だ。選手会は選手の地位向上や野球振興、現役引退後のセカンドキャリアに向けた支援など幅広い役割を担い、超多忙な日々を送るが、「やりがいがあってすごく楽しい」と全国を飛び回っている。

 5月中旬、肘井さんが託された仕事は、東京都杉並区の和田堀公園野球場で開かれたイベント「キャッチボールクラシック2019東京大会」の運営だ。肘井さんは会場で参加した中学生を整列させ、選手会が考案したキャッチボールの正確さやスピードを競うゲームが始まると、タイムを計測。競技の合間には、指導者や子どもたちに笑顔で話しかける姿もあった。

イベントの合間に選手に声を掛ける肘井さん=2019年5月11日午後4時12分、東京都内で中村有花撮影

 イベントは今年だけで10回以上開催。肘井さんも全国各地に足を運んだ。「(現役の頃は)自分で飛行機のチケットを取ることも、空港からバスや電車に乗り継ぐ経験もなかった。今は自分で調べて、ホテルも予約するが、それがすごく楽しい」と言う。

 現場で野球の団体の関係者と交流することもよくある。「『チームがどんどん減っている』とか『あそことあそこのチームは合併した』などと聞くと、野球人口の減少は思ったより深刻と感じる。選手の時、野球の普及について、そこまで深く考えたことはなかったが、野球界全体を見たとき、やることはいっぱいあるんだなとすごく感じる」と野球人口減少への危機感を強く抱いている。さらに「全く何も知らなかったと改めて感じている。自分がやってきた野球のことですら、こんなに知らなかった。社会ってどれだけ広いんだ」とも痛感している。

ロッテと契約を結んだ当時高校生の肘井さん(左)=兵庫県加西市の北条高で2013年11月26日午後5時50分、姜弘修撮影

 肘井さんは兵庫・北条高から2013年の育成ドラフト1位でロッテに入団。2年目の15年には支配下登録され、開幕1軍をつかみとったものの、5年目の昨季オフ、戦力外通告を受けた。結局、プロ5年間の1軍での通算出場は30試合に終わった。

 昨オフ、就職活動を始めると、選手会事務局も含め13社から入社の誘いを受けた。「売り込みに行かないといけないと思っていたのに、たくさんの声を掛けてもらった。学歴は高卒、パソコンができるわけでもない、英語が話せるわけでもない。そんな自分がなぜ」と思い、採用担当者にその問いをぶつけた。答えは「野球に限らずアスリートには、試合に向けた準備、試合、結果を踏まえて反省して考える、また準備というプロセスが身についている」だった。

 そして、「こういうことを知っている野球選手はどれぐらいいるんだろうか?」と疑問がわいた。それはセカンドキャリアを支援したい思いへと変わり、選手会事務局への就職を決断する大きな理由となった。

キャッチボールのイベントで選手に指示を出す肘井さん=2019年5月11日午後3時55分、東京都内で中村有花撮影

 日本野球機構(NPB)の調査によると、昨オフ、戦力外となった選手・現役引退した選手は計136人。このうち、独立リーグなどを含む他球団へ移籍したり、育成契約を結んだりしたのは54人で、一般企業や自営など野球関係以外の道に進んだのは、約2割だけだった。「『僕には野球しかない』という人が多いが、それがイコール『野球しかできない』ではない。そう思える選手を一人でも増やしたい」

キャッチボールのイベント前に、参加するチーム名の確認をする肘井さん=2019年5月11日午後3時30分、東京都内で中村有花撮影

 2月の春季キャンプでは、選手会事務局の一員として各球団を訪問した。「僕の経験も踏まえながら、全力でサポートできるように全力で頑張ります」とあいさつすると、たくさんの拍手を浴びた。事務局から支給されたスマートフォンには若手選手から電話が掛かってくることもある。「『これ、分からないんですけど』と質問してもらえると、すごくうれしい。もっと勉強して、何を聞かれても、ぱっと応えられるようになりたい」。選手会事務局のルーキーは今日も各地を走り回っている。【中村有花】

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