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社説

ノルマンディー75年式典 つかみ損ねた修復の好機

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 第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦から75周年の記念式典が英仏両国で行われた。ことしは各国首脳が参集する5年ごとの節目の式典で、トランプ米大統領、メイ英首相、マクロン仏大統領らが出席した。

 1944年6月6日に連合国の米英カナダ軍がナチス・ドイツ占領下のフランス北部の海岸に上陸した史上最大規模の作戦である。戦況の転換点となり、パリ解放につながるが、各国に多くの犠牲者を出した。

 慰霊とともに自由と平和を尊び、米欧の連帯を確認する。式典に込めた願いは、安定した国際秩序の継続だろう。米欧関係が深い対立に陥る中、その理念を貫けただろうか。

 トランプ氏は式典に合わせてメイ氏、マクロン氏とそれぞれ会談した。英国ではメイ氏との会談の成果よりも欧州連合(EU)からの離脱推進派の与党有力議員や政党党首らと協議したことをアピールした。

 マクロン氏とは米欧同盟の重要性を型通り確認したものの、フランスが批判する高関税政策や気候変動対策では譲歩しなかったようだ。短時間会談したドイツのメルケル首相とは握手も交わさない冷淡ぶりだ。

 欧州の分裂をあおり、米欧の修復に背を向けるなら、対立の溝は埋まりようがない。米国が離脱して緊張が高まるイラン核合意問題もなお見解の隔たりは大きい。

 2004年に開催されたノルマンディー60周年式典は前年のイラク戦争開戦で分断された米欧関係の修復を演出する場になった。今回、この好機を生かせなかったのは残念だ。

 トランプ氏が8月に仏ビアリッツで開催される主要7カ国(G7)首脳会議への出席を明言しなかったことも、不安が残る。

 4月のG7外相会合にはポンペオ米国務長官が欠席している。昨年の首脳会議ではトランプ氏が途中退席し、首脳宣言をほごにした。

 戦後、米欧は自由で安定した国際秩序を支える基礎となった。これに日本を加えた主要国によって発足したのがG7首脳会議だ。トランプ氏が出席を見送るなら、主要国としての責任を放棄するに等しい。

 同盟国でも国益は異なる。それでも自国の利益のみを追求すれば衝突は先鋭化する。大局に立つ利害の調整こそ米欧が負う責任ではないか。

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