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なぜNPBはeスポーツの世界に足を踏み入れるのか

会場の大型画面には、対戦の様子と選手たちの表情が映し出される。中日と阪神のチームが対戦中=東京都内で2019年5月18日午後5時34分、中村有花撮影

 プロ野球を統括する日本野球機構(NPB)が先月、世界で大人気のゲーム「スプラトゥーン2」を使ったeスポーツの大会を東京都江東区のイベントホールで開催した。NPBはスポーツ文化全体の発展を目的にeスポーツへの取り組みをはじめ、昨年、野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」を舞台にした「第1回eBASEBALLパワプロ・プロリーグ」を実施。今回、野球とは全く無縁のゲームだが、プロ野球界は、なぜ、eスポーツの世界に足を踏み入れるのか。【中村有花】

 球団のチームカラーをイメージした照明に加え、実況するアナウンサーと解説者の掛け合いが会場の雰囲気を盛り上げる。設置された舞台の上では、1チーム4人の選手が相手と向かい合うようにして座り、それぞれのモニターを見ながら、コントローラーを動かす。会場内の二つの大型画面には、「試合」の様子と選手の表情が映し出され、ビッグプレーが飛び出すと、観客は歓声を上げ、両手に持った応援グッズの風船「スティックバルーン」を打ち鳴らす。

試合前、壇上でポーズを決めるソフトバンクの選手たち=東京都内で2019年5月18日午後5時41分、中村有花撮影

 「スプラトゥーン2」は世界で大ブームになっている任天堂のゲーム。いわゆる「陣取りゲーム」で、選手たちがそれぞれ動かすキャラクターがインクの飛び出るブキ(武器)を持ち、役割分担しながらひたすら地面を塗り合う。一定のエリアの中で塗った面積が大きいチームの勝ちとなる。

 NPBの大会では、チームの4選手を、セ・パ12球団が「ドラフト会議」を開いて指名。日本ハムは「野球のファンにも応援してもらいたい」と、4人全員を北海道ゆかりの選手でそろえた。埼玉県内に住む19歳の会社員女性は「自分でもプレーする。今日は好きな選手が西武の選手としてプレーするので見に来た」と話した。

パ・リーグ優勝を決めて喜ぶオリックスの選手たち=東京都内で2019年5月18日午後5時49分、中村有花撮影

 今、プロ野球人気は右肩上がりだ。昨年はセ・パ両リーグで史上最多の観客動員(セ=1423万5573人、パ=1131万5146人)を記録した。一方で、野球人口は減少。プロ野球の斉藤惇コミッショナーが「幼少期からどうやって野球に親しんでもらえるかが課題」と話すように将来への危機感は強い。

 NPBによると、スプラトゥーン2の大会に一般の観覧者を募集したところ、2653人の応募があった。このうち野球経験のない人が約40%おり、テレビ観戦も含め野球を全く見たことがない人が16%にも及んだ。eスポーツ事業を通じ野球に興味がない人たちに、まずは「プロ野球の球団名」から知ってもらい、野球の普及、振興につなげることが、大会を開催する目的の一つだ。

インタビューに答える選手たち=東京都内で2019年5月18日午後6時22分、中村有花撮影

 東京都品川区から友人2人で観戦に訪れた男子高校生2人は今、スプラトゥーンに夢中だが、ほとんど野球をやったことはない。ただ、今大会で「チームの名前を覚えたし、主力選手も少しわかるようになった」と言う。優勝したDeNAの選手は全員が10代。テルミ選手は「野球に興味がわいたので、みんなで行きたい」と話し、けいとぅーん選手は「DeNAベイスターズから横浜スタジアムに招待してもらった。野球ってこんなに楽しいんだと思ったので、プライベートでも行きたい」と振り返った。

 大会の生中継動画の視聴回数は51万回超。NPBの担当者は「手応えを感じた」と喜ぶ。12球団の実際のユニホームをモチーフにした大会オリジナルユニホームなどグッズ販売ブースには長蛇の列もできた。広島のユニホームを着た千葉県在住の会社員男性は「野球とゲーム、それぞれに触れる機会があれば、相乗効果が生まれると思う。今はいろいろなスポーツがあるが、野球がこういうイベントを開くことで、これからの野球の人気にもつながるのでは」と語った。

 今秋、パワプロの大会が再び開かれる予定。野球界側からさまざまな分野に飛び込み、ファン獲得の知恵を絞ることが、将来の発展につながるだろう。

会場に展示されたユニホーム=東京都内で2019年5月18日午後5時59分、中村有花撮影

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