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社説

移民とトランプ関税 脅しの外交は認められぬ

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 超大国が相手を脅して譲歩をもぎ取る。こんな横暴な外交がまかり通れば、国際秩序は成り立たない。その意味で禍根を残した決着だ。

     不法移民対策が不十分として、メキシコに最大25%の制裁関税を課すと表明していたトランプ米大統領が発動見送りを決めた。米国への移民流入を防ぐ措置で合意したという。

     メキシコは対米自動車輸出の拠点である。関税が発動されると、メキシコだけでなく、多くの日系企業も打撃を受けるのは必至だった。そうした事態は免れたが、引き換えにメキシコは国境警備を増強するなど多くの譲歩を余儀なくされた。

     トランプ氏は「合意を喜んでお知らせする」と成果を誇るようにツイートした。不法移民対策は最大の公約である。来年の大統領選に向けてアピールしたいのだろう。

     だが、移民問題と関税は何の関係もない。メキシコは以前から「強制力では解決しない」と主張し、中米諸国の貧困対策に協力を求めてきた。抜本解決に不可欠なものだ。

     なのにトランプ氏は国際ルールに反する制裁を振りかざし、対策をメキシコに押しつけた。大国の責任を放棄する身勝手な振る舞いだ。

     今後危ぶまれるのは、トランプ氏が今回の結果に味を占め、ほかの国に対しても関税による脅しを一段とエスカレートさせることだ。

     日本も米国と新たな貿易交渉に入っている。焦点の一つは日本の自動車輸出を巡り、米国が数量規制を求めてくる可能性があることだ。

     数量規制は関税以上に自由貿易をゆがめるものだ。日本は拒む考えだが、トランプ政権は日本車への高関税発動をちらつかせており、対日圧力を強める恐れがある。

     さらに深刻なのは、今回、貿易と無関係な移民問題にまで関税を持ち出したことだ。国力に物を言わせるパワーゲームが広がれば、力の弱い国は常に不利になってしまう。

     第二次世界大戦後の国際社会は、国力の大小にかかわらず、どの国も国際ルールに従う「法の支配」を目指してきた。多国間の協調が世界の安定と発展を支えてきたのだ。

     そうした国際秩序をリードし、利益を最も得てきたのは米国である。トランプ政権は超大国の本来の責任を踏まえるべきだ。

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