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社説

陸上イージス調査に誤り 配備ありきが信頼損なう

 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備候補地に関する防衛省の調査報告書に重大な誤りが見つかった。

     日本に向け発射された弾道ミサイルをレーダーで探知し、大気圏外で迎撃するシステムだ。周囲に高い山があるとレーダーの障害となる。

     調査では東北地方の候補地9カ所について、レーダーから山の頂上を見上げた角度が10度を超えることを理由に配備には「不適」とした。ところが実際の角度は9カ所とも報告書のデータより小さかった。

     防衛省は「縦軸(山の高さ)と横軸(山までの距離)の縮尺が違うことに気づかないまま計算した初歩的なミス」と説明している。だが、実際は4度しかないのに報告書では15度となっていた地点もある。単純なミスでは片付けられない。

     陸上イージスの導入に当たって、政府は東日本と西日本に1カ所ずつ計2基で全土をカバーすることとし、配備先には新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(山口県萩市、阿武町)をすでに選定済みだ。

     調査はそれぞれの地元自治体にシステムの安全性や選定理由を説明する目的で実施された。誤りが判明したのは東日本分の調査だ。

     修正されたデータでは4カ所の角度が10度以下に収まったが、防衛省は「不適」の判断を変えず、その理由も示していない。新屋演習場を「唯一の適地」とする結論が先にあったと疑われても仕方ないだろう。

     民主国家が安全保障政策を進めるうえでは、国民の信頼を得ることが不可欠だ。配備ありきのおざなりな調査は信頼の根幹を損なう。

     有事を想定したとき、陸上イージスの配備先が他国からの攻撃対象にならないかと住民は不安に思う。高性能レーダーの強力な電波が人体や生活に及ぼす影響も懸念される。

     調査報告書にはそうした不安を払拭(ふっしょく)するデータも並ぶが、これをもって大丈夫だといっても信用してもらえまい。自治体側が受け入れの是非を判断できる状況にはない。西日本分も含めデータを精査すべきだ。

     トランプ米大統領からの武器購入圧力で導入を急いでいるのではないかとの疑念も持たれている。

     どうしても必要だというなら丁寧で誠実な説明が求められる。

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