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加藤陽子・評 『皇位継承 歴史をふりかえり 変化を見定める』=春名宏昭、高橋典幸ほか著

 (山川出版社・1296円)

 今年の春は常にもまして慌ただしく感じられた。4月の新元号決定、5月の天皇代替わりと無関係ではあるまい。新天皇の即位を天皇崩御の場合に限った点で、旧皇室典範と戦後の法律としての新典範は同様だったが、一昨年に制定された特例法により、近代の天皇では初の退位(譲位)が今回実現を見た。

 今や私たちは、天皇の自然的身体と政治的身体が一致しない時空を、明治以降初めて経験しつつあることになる。身体を二つに分けるのは、歴史家カントーロヴィチによって見出(みいだ)された、16~17世紀英国の王権を正統化する論理としての法的擬制にちなむ。一つは通常の肉体であり、衰えもすれば死にもする自然的身体。いま一つは王を頭とし臣民を四肢とするような組織であり、目に見えないが永続性を持つ政治的身体。

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