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本村凌二・評 『ヨーロッパとゲルマン部族国家』=M・クメール、B・デュメジル著、大月康弘、小澤雄太郎・訳

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 (白水社 文庫クセジュ・1296円)

現代の異民族問題考える手がかりに

 ヨーロッパに行くと、しばしば冗談じみた話を耳にする。「ワイン愛好者は文明人、ビール愛好者は野蛮人」「ライン河の南側は文明の地、北側は野蛮地帯」など。なるほどローマ帝国の領土拡大はぶどう栽培地の拡(ひろ)がりとほぼ重なっているのだ。

 昨今、移民・難民問題が取り沙汰されるせいか、しばしば古代末期以降のゲルマン民族の大移動が注目される。たしかに、異民族と接触するとなると、どこか不気味さがつきまとう。それも大移動となると、その混迷の様は想像を絶する。だが、近年の研究の示唆するところでは、「大移動」とは神話にすぎないという。じっさい、「蛮族」とよばれる異民族とローマ人は対立こそしていたが、それと同じくらい意思疎通も度重ねていたらしい…

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