メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続

/303 第四話 黒武御神火御殿=宮部みゆき 題字・絵 藤枝リュウジ

 季節の巡りの異様な早さは変わらず、屋敷は夏を迎えていた。

 頭上の雲の分厚さ、気まぐれに流れては淀(よど)む執拗(しつよう)な霞(かすみ)の重さに気が塞ぐ。蝉(せみ)の声を聞かず、蛍の光を見かけることがなくても、温気に蓋(ふた)をされたような蒸し暑さは、間違いようのない夏だ。唯一の救いは、まわりの森や林が爽やかな新緑をまとったことだけだった。

 ここへ来たときは師走だったから、みんな冬物を着ていた。着た切り雀(すずめ)でそれらの衣服も傷んできている。幸い浴衣は何枚もあったので、見苦しくないようにそれを着付けて暑さをしのいだ。

この記事は有料記事です。

残り630文字(全文894文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 愛子さま、19歳に 今春に大学進学 オンライン授業、課題などで忙しく

  2. ドコモ、携帯料金を値下げへ 主力ブランドで大手初、「格安」も新設

  3. ORICON NEWS 今年の“新語”大賞は「ぴえん」 新型コロナ関連のワードも続々トップ10入り

  4. 愛子さまが学習院大に初登校 新入生向けガイダンスに出席

  5. 宿泊療養39人分の個人情報流出 山口県 メール誤送信、あて先不明 新型コロナ

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです