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「花園」がラグビーW杯招致にこだわった理由 東大阪市

ラグビー・ワールドカップの試合会場となる東大阪市花園ラグビー場

大会組織委員会 東大阪地域支部長 東野昌史さん

 東大阪市花園ラグビー場は全国高校ラグビー大会の舞台となる聖地で「ラグビーのまち」東大阪市のシンボルです。地元の人たちのラグビー愛は深く、ワールドカップ(W杯)の誘致は悲願でした。来場者に「さすが花園」と言わせるような大会にしたいです。

     日本ラグビー協会の当初計画では、花園は試合会場に含まれていませんでした。収容人数が約3万人(当時)で、多数の観客動員が見込める競技場が優先されたためです。それでも、野田義和市長が「聖地として、やらないわけにはいかない」と誘致に乗り出しました。

     2010年4月に市役所内に誘致室を設け、職員4人で活動を始めました。とはいえ、何をすればよいのか分かりませんでした。まず市民らへの署名活動を行い、クールビズの期間には市職員がラガーシャツで勤務するなど、W杯の機運を盛り上げる取り組みを進めました。

     最も難題だったのは施設の改修です。当時の名称は「近鉄花園ラグビー場」で、近畿日本鉄道が保有していました。話し合いの結果、施設は無償譲渡、敷地は市が買い取ることになりました。15年4月に「東大阪市花園ラグビー場」と改称され、改修に向けた準備が本格化しました。

     開催地決定を受け、工事は17年2月にスタートしました。総工費は約72億6000万円で、18年9月に完成しました。710インチの大型ビジョンやナイター照明設備を新設し、両ゴールポストの裏にはスタンドも増設。長椅子から全て個別席に取り換え、収容人数は約3500人減の約2万6500人となりました。

     選手の環境も向上しました。ロッカールームには試合後に体を冷やすアイスバスなどの最新設備に加え、廊下をスパイクでも歩きやすい素材に張り替えました。1929年に完成した国内初のラグビー専用競技場は「W杯仕様」に生まれ変わりました。

     17年度の第97回全国高校ラグビー大会は工事を中断し、実施しました。高校生の聖地としての誇りがあり、大会開催を優先したのです。W杯後の第99回大会、そして翌年には記念すべき第100回大会を迎えます。W杯と同時に盛り上げていきたいと思います。

     「新生・花園」の初の試合は昨年10月にあった強化試合の日本代表―世界選抜戦です。照明が完備され、ナイター開催も初めてでした。住宅地に隣接するため、騒音や道路の混雑など不安もありましたが、地元の人たちの理解や関係者の尽力により無事に終えることができ、ほっとしたことを覚えています。やはり、地域のラグビーへの思いは半端なものではないと改めて感じました。

     花園で行われるW杯の試合には日本代表や強豪国同士の対戦はありませんが、花園らしい玄人好みのチームがやってきます。選手が激しくぶつかる音など、ラグビー専用競技場でしか味わえない臨場感を楽しんでいただければと思います。

    ラグビーワールドカップ日本大会の組織委員会大阪・東大阪地域支部長の東野昌史さん=東大阪市で2019年6月6日午前10時54分、長宗拓弥撮影

    東大阪市花園ラグビー場

     1929年完成の国内初のラグビー専用スタジアム。年末年始の全国高校大会の会場で、「高校ラグビーの聖地」と呼ばれる。大会自体も「花園」の愛称で定着している。最寄りの近鉄東花園駅から北へ徒歩約10分。駅とラグビー場を結ぶ一本道は「スクラムロード花園」と名付けられ、ラグビー用品店や飲食店が並び、ムードを盛り上げている。

    ひがしの・まさふみ

     1969年6月生まれ。東大阪市出身。大阪・八尾東高でラグビー部に所属し、ポジションはプロップ。大学卒業後に東大阪市役所に入庁した。教育委員会や福祉関係の仕事を担当し、2010年4月に市ラグビーワールドカップ誘致室に配属。大会誘致やPR活動などに取り組み、現在は大会運営に携わる。

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