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F35A、飛行再開へ 人的要因で墜落と推定、機体の不具合否定

航空自衛隊のステルス戦闘機F35Aが青森県沖に墜落した事故で、事故原因と再発防止などについて説明する岩屋毅防衛相(中央)=防衛省で2019年6月10日午後0時36分、佐々木順一撮影

 航空自衛隊三沢基地(青森県三沢市)所属の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが4月に同県太平洋沖で墜落した事故で、空自は10日、死亡した操縦士が平衡感覚を失う「空間識失調(くうかんしきしっちょう)」に陥り、急降下に気づかなかったのが原因と推定する中間報告を公表した。当時の状況から機体の不具合の可能性は極めて低いとしており、操縦士への教育など安全対策を実施し、三沢基地に配備している同型12機の飛行を近く再開する。

 空自によると、事故機はほかの3機と夜間の戦闘訓練中、1回目が終わったタイミングで地上の空自管制から降下の指示を受けた。嘉手納基地に向かう米軍機への接近を避けるためで、高度約9600メートルにいた事故機は降下を開始。しかし20秒ほどの間に約4900メートルも降下した。通常では考えられない急降下のため、この時点で、操縦していた細見彰里(あきのり)3佐(41)は空間識失調に陥ったとした。

 さらに管制から左旋回を指示された細見3佐は最後の交信となる「はい、ノック・イット・オフ(訓練中止)」と発言。急降下を続けたまま15秒ほどで高度をさらに約4400メートル下げ、急角度で海面に衝突した。細見3佐の交信の声は落ち着いており、航跡から衝突を回避する操作は確認されず、緊急脱出をした形跡もなかった。このため空間識失調によって急降下を自覚していなかったと推定した。

 機体の問題に関しては、エンジンなどのトラブルがあれば、急降下の航跡を描くほどの速度は出ないと指摘。機体の不具合を知らせる交信がなかったことも合わせて、機体不備の可能性は極めて低いと判断した。

 機体は大破して破片が海底に散在。飛行記録装置の記録媒体が見つかっていないが、空自は機体同士で情報共有するデータリンク機能と地上レーダー情報から航跡をほぼ復元した。ほかの隊員からの聞き取りを加味して事故調査をしており、今後報告書をまとめる。

 岩屋毅防衛相は10日、記者団に「事故原因と考えられる要因に対しては再発防止策を徹底していく。なおかつ地元の皆様に丁寧に説明をして、ご理解をいただくという作業を終えて、飛行再開の判断をしたい」と述べた。【町田徳丈】

F35戦闘機

 米ロッキード・マーチン社製。特殊な素材を使うなどして、レーダーに捕捉されにくい「ステルス性」を備える。機体は3タイプあり、空自が導入しているA型は1機あたり約140億円で、105機を配備する予定。日本政府は、短距離離陸・垂直着陸ができるB型42機も導入し、事実上の空母化をする海上自衛隊の護衛艦「いずも」型で運用する方針。

空間識失調

 航空機の操縦士が一時的に平衡感覚を失う状態で「バーティゴ」と呼ばれる。夜間や雲の中といった水平線が確認できない状態や、急な速度の変化などによって陥るとされる。操縦士が自覚できない場合が多く、回避するためには機体の姿勢を示す計器をこまめにチェックすることが求められる。

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