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大阪万博会場に絶滅危惧種コアジサシ飛来 夢洲の生態系調査へ

2025年大阪・関西万博の会場となる夢洲。手前が予定地=大阪市此花区で2019年3月5日午後3時18分、本社ヘリから幾島健太郎撮影
コアジサシの親子=東京都大田区の森ケ崎水再生センターで2015年6月13日、後藤由耶撮影

 2025年大阪・関西万博の会場となる大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)で、公益社団法人「大阪自然環境保全協会」(同市北区)が今月中旬から、動植物の生育・生息状況を調査する。同協会は既に、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているコアジサシの飛来を確認した。調査を基に、万博会場の建設が生態系に影響しないよう提言をまとめる方針だ。

 夢洲は1977年に廃棄物処分地として整備が始まり、今も埋め立てが続く。万博に向けた建設工事はまだ始まらず、面積約390ヘクタールの広大な土地はコンテナターミナルや太陽光発電施設などがあるだけだ。草地や池が広がり、野鳥が集まる環境ができている。

 対岸の咲洲(さきしま)の「野鳥園臨港緑地」も含めたエリアは、大阪府から希少な野生生物が多く生息する「大阪の生物多様性ホットスポット」に選定されている。大阪市によると、過去に夢洲がコアジサシやシロチドリなどの繁殖地だったとの報告もあるが、近年の状況は不明な部分が多い。

夢洲の地図

 同協会は5月中旬、会場予定地の夢洲南側などで事前視察をした。約1時間でコアジサシ10羽以上やシギ・チドリ類など数種類の野鳥を確認した。水辺ではキンクロハジロなどの水鳥十数羽が群れをなしていたという。

 夢洲がコアジサシの繁殖地になっている可能性があり、同協会はより詳しい調査が必要と判断。専門家に協力を依頼した。同協会などは調査後、7月にかけて市民ら対象のワークショップを開き、環境保全の課題を議論する予定。市民による環境アセスメントとして提言をまとめ、どのような環境調査を実施すべきか万博の主催者などに呼びかける。

 同協会の加賀まゆみ理事は「夢洲の開発で大阪湾全体の自然環境が大きく変わる可能性がある。動植物の生態系をしっかり調査し、影響をできるだけ減らすよう市民の立場から求めたい」と話す。

 万博の実施主体となる日本国際博覧会協会の担当者は「工事着手前に行う環境影響評価(アセスメント)の手続きの中で調査を行い、結果を踏まえて対応する」としている。

 05年の愛知万博では、会場候補地の里山「海上(かいしょ)の森」で希少な猛きん類のオオタカの営巣が確認され、市民らが大規模な保護運動を起こして会場が変更になった。愛知万博に詳しい山田明・名古屋市立大名誉教授(地方財政学)は「市民が専門家の協力を得ながら調査し、意見を言うことは大切だ。大阪・関西万博の主催者は、夢洲の環境調査の結果を注視し、市民の声を真摯(しんし)に受け止める必要がある」と話している。【宮川佐知子】

コアジサシ

 全長25センチ前後のカモメ科の渡り鳥で、頭部の黒い模様や黄色いくちばしが特徴。日本では4~9月ごろ観察される。環境省のレッドリストの絶滅危惧2類、大阪府のレッドリストの絶滅危惧1類に分類される。近年の巣立ち率は1割未満と低く、環境省は2014年にコアジサシ繁殖地の保全・配慮指針をまとめている。

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