SUNDAY LIBRARY

岡崎 武志・評『夢見る帝国図書館』『毎日写真』ほか

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今週の新刊

◆『夢見る帝国図書館』中島京子・著(文藝春秋/税別1850円)

 中島京子『小さいおうち』は直木賞受賞と映画化で、多くの人に愛された。これも映画化されそうな新作『夢見る帝国図書館』は、いわば図書館が主人公。

 作家の「わたし」と、雑誌記者時代に出会った喜和子という女性が、国会図書館成立史とともに物語を引っ張る。樋口一葉が好きだという年金生活者の喜和子さん。ある日、「図書館が主人公の小説を書く」ことを「わたし」に勧める。

 そうして書き始められた『夢見る帝国図書館』は、明治期に生まれた図書館の歴史が小説仕立てで章ごとに挟み込まれていく。同時に、戦後を生き、複雑な過去を持つ女性の謎が明らかにされる。中島の、人の心に忍び込むうまさは『小さいおうち』でも実証済みだ。 図書館創設に尽力した永井久一郎(荷風の父)は、「国民に本を読ませない国は亡(ほろ)びるよ」と言った。作家人生が図書館と切り離せない幸田露伴、菊池寛、芥川龍之…

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