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社説

初の米朝会談から1年 後戻りさせてはいけない

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 昨年6月12日に史上初の米朝首脳会談がシンガポールで行われてから1年になる。核問題で大きな進展はないものの、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の個人的な関係に依存する形で小康状態が続いている。

     1年前の会談の意義は、両国の首脳が初めて向き合ったことに尽きる。会談後に両首脳が署名した共同声明は「朝鮮半島の完全な非核化」という抽象的な内容にとどまったが、冷戦構造が残る北東アジアで緊張が緩和したことは確かだった。

     問題は、その後の協議で北朝鮮の非核化への意思が疑われるようになったことだ。金氏は2月のハノイ会談で、寧辺(ニョンビョン)の核施設廃棄の見返りに主要な制裁の解除を求めた。米側がこれを拒否すると、5月には新型の短距離弾道ミサイルを発射する挑発行為に出た。

     北朝鮮は「行いうるすべての努力を尽くした」と主張する。北朝鮮が行ったのは米兵の遺骨返還などにすぎない。なのに、重大な措置を先にとったとして、協議停滞の責任は米側にあるとの論理だ。

     非核化に向けた行程表作成や核リスト申告など本質的な議論はまったく進んでいない。北朝鮮が核開発を継続している可能性も指摘される。

     それでも、首脳同士は相互批判を控えている。双方とも国内向けに会談の成果をアピールしており、対話は続ける意向のためだ。これまで北朝鮮は核実験や大陸間弾道ミサイルの発射を見合わせている。

     ただ、来年はトランプ氏が再選を目指す大統領選が予定されている。そのためか、金氏は米側に再考を促す期限を年内と区切った。

     首脳間の関係が悪化すれば、再び緊張が高まりかねない。曲がりなりにも維持されているパイプを次のステップに高めてほしい。

     安倍晋三首相はシンガポール会談を機に、日朝首脳会談に意欲を示し始めた。現在は無条件での会談を呼びかける。米朝間で対話が行われている時に日朝関係も改善させたいという考え方は理解できる。

     しかし、日本が模索したウランバートルでの実務者接触に北朝鮮は応じなかった。米国に足並みをそろえようと原則抜きで方針転換するだけでは意味のある会談は実現しまい。

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