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移転住民 生活再建誓う 八ッ場ダム、計画から67年「打設」完了

移転地の現状を話す樋田省三さん。背後には建設中の八ッ場ダムが広がる=長野原町川原湯で2019年3月26日午後3時3分、西銘研志郎撮影

 67年前に計画され、群馬県長野原町に国が建設を進める多目的ダム「八ッ場(やんば)ダム」の本体部分にコンクリートを流し込む「打設(だせつ)」が終了し、建設現場で12日、「打設完了式」が行われた。地元住民の激しい反対運動や、民主党政権下の建設中断など、紆余(うよ)曲折をたどったダム建設は、来春の完成に向けて大きな節目を迎えた。しかし、水没のため造成地に移転を余儀なくされた住民の暮らしはいまだ再建途中だ。

 「出て行く人がいることは覚悟していたが、これほどまでに減るとは思わなかった」。水没する地区の一つで、800年の歴史を誇る「川原湯温泉」があった川原湯地区。ここで創業約100年の老舗旅館「やまきぼし」を営んでいた樋田省三さん(54)が言った。

 川原湯地区はダムの建設に伴い、山を切り開いた造成地に移転することになった。だが造成地の整備に時間がかかり、2009年には民主党政権下で建設工事が中断した。先が見えない不安から地元を離れる人が後を絶たず、造成地に移転した住民は約3分の1に。全盛期に約20軒あった旅館は廃業が相次ぎ、今では6軒となった。

 移転先は、旅館や飲食店、土産店が建ち並んだかつてのにぎわいとはほど遠い。樋田さんの旅館も再建途中にある。日中は旅館に先立ちオープンさせたレストランで厨房(ちゅうぼう)に立つ。「嘆いても、いる人でやらなければいけない」。地元の温泉協会の会長でもある樋田さんが目指すのは、ダムを生かした観光地化だ。4月にはダムに架かる橋でバンジージャンプの営業が始まった。

 「本当にダムで観光地化できるのか。川原湯をどうしたいかというビジョンが見えない」といった懐疑的な声もある。それでも樋田さんは「川原湯で生きる人に誇りを持ってもらいたい」との思いを胸に、「現実を受け止め、『絶対に成功する』という気持ちだ」と語る。

 完了式には、地元住民や大沢正明県知事ら自治体関係者、地元の国会議員などが出席した。【西銘研志郎】

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