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東京へ ともに歩む

毎日新聞

パラ陸上日本選手権の男子走り高跳び(切断などT44)で、1メートル82をクリアした成田緑夢=ヤンマースタジアム長居で2019年6月2日、徳野仁子撮影

Field of View

新時代のパラアスリート 成田緑夢が描く壮大な夢

 2018年平昌冬季パラリンピックのスノーボードで金メダルを獲得した25歳の成田緑夢(ぐりむ)が、陸上男子走り高跳びで来年の東京パラリンピックを目指している。パラリンピックでの夏と冬の「二刀流」は珍しくないが、成田の場合は「誰もやっていない夏冬のパラリンピックと五輪に出るのが人生の夢」と、五輪を含む4大会出場を目標に掲げる。新時代のアイコンは型にはまらない自由な発想で、ミッションに挑もうとしている。【高橋秀明】

    平昌冬季パラリンピックのスノーボードで金メダルを手にし、笑顔を見せる成田緑夢=平昌メダルプラザで2018年3月16日、宮武祐希撮影

     成田は5月の北京グランプリ(GP)で、1メートル84の日本新記録を樹立した。大阪市・ヤンマースタジアム長居で6月2日に行われたパラ陸上日本選手権でも、これまでのバーに正対した位置からではなく、左真横からスタートする新しい助走を試しながらも、自己ベストに迫る1メートル82をマークした。「東京(パラリンピック)には2メートル近く跳ばないと出られないが、僕的には、いつかは跳べそうだと思っている」。東京で大舞台に立つイメージは、既にできつつある。

     平昌大会後、スノーボードからの引退を表明した。東京五輪、パラリンピックへの出場を視野に入れ、競技団体に自分で電話をかけて情報収集したり、射撃、馬術、カヌーなどを体験したりした末に、現実的に出場可能な種目としてパラ陸上の走り高跳びを選んだという。競技団体から「無理でしょ」と冷たくあしらわれることもあったというが、左下肢の障害を考慮したうえで、あらゆる可能性を机の上に並べ、熟考し、決断を下した。

     固定観念に縛られない自由な発想と行動。それも考える力があってこそだ。昨秋には先を読む力に磨きをかけるため、東京・千駄ケ谷の将棋会館に通い詰めた。17年世界パラ陸上銅メダリストで39歳の鈴木徹(SMBC日興証券)は「助走にしても、僕は面白いなと思った。背面跳びだって(1968年メキシコ五輪で)米国選手がバーンと跳んではまったが、それまではベリーロールだった。緑夢君もいろいろ考えて、ああいう助走にしている。彼の出現で、面白くなるんじゃないかな」と期待する。

     24年には射撃で夏季五輪を狙うプランもある。「無理なことをやろうとしているからこそ、楽しい」。それが成田緑夢の生き方だ。

    高橋秀明

    毎日新聞東京本社運動部編集委員。1968年、東京都生まれ。1991年入社。京都支局、鳥取支局を経て、大阪、東京運動部で野球、大相撲、柔道、レスリング、ニューヨーク支局で大リーグを担当。アテネ、トリノ、北京の五輪3大会を現地取材した。2018年4月からパラリンピック報道に携わる。最近の趣味は畑いじり。