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余録

雷よけの「くわばら、くわばら」という呪文は…

 雷よけの「くわばら、くわばら」という呪文は今の人も聞いたことがあるだろう。「つるかめ、つるかめ」も災い事や縁起の悪い事があった時のまじないで、昔の人はめでたい言葉で縁起直しを図ったようだ▲興味深いのは地震よけの呪文で、その昔は「世直し」や「万歳楽(まんざいらく)」と唱えたという。世直しは必ずしも社会の変革を意味した呪文ではなかったが、幕末の安政大地震でよく使われたというから庶民の秘めた願望も表していたのだろう▲さてこちらは参院選前の政府・与党にとっては悪夢を呼び覚ますマジックワード、「年金」である。12年前の第1次安倍政権の参院選大敗を招いた「消えた年金」問題、そのトラウマがよみがえっての政府・与党の周章狼狽(しゅうしょうろうばい)となった▲やり玉に挙がったのは、公的年金以外に老後の資産として2000万円が必要という試算を盛り込んだ金融庁の審議会の報告である。与党からは国民に不安や誤解を与えると非難が噴出、担当閣僚がその受け取りを拒む珍事となった▲一方「年金」というマジックワードと参院選の組み合わせとあれば、ここが攻めどころといきり立つ野党である。いうまでもなく「年金」がまるで選挙の行方を決める呪文のようになっているのは、国民の年金不信、不安ゆえである▲今後の年金の給付水準低下への対策や制度改革の検討をよそに、ただ「安心」だと強弁する政府・与党と国民の「不安」にただ乗りする野党。いつまでも「年金」を選挙目当ての呪文にしていては困るのだ。

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