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「幸せの軍艦巻き」も? クローバーのエサでウニ養殖 九大・宮城大チームが特許出願

クローバーでウニを養殖する実験に取り組んでいる栗田喜久・九州大助教=福岡県福津市津屋崎の九大水産実験所で2019年6月11日午後2時、馬原浩撮影

 クローバーなどのマメ科植物を餌にしてウニを養殖する技術を九州大農学研究院の栗田喜久助教(35)=水産増養殖学=らの研究チームが開発し、特許を出願した。水産業者と提携してウニ養殖の事業化を目指す。近い将来、幸せを呼ぶとされる四つ葉のクローバーで育ったウニの軍艦巻きが食べられるかもしれない。

 ウニはワカメや昆布などの海藻を大量に食べる。キタムラサキウニの場合、水温によっては約1万匹を育てるのに約3トンの昆布が必要だ。海藻が少ない冬場は身が育たないため、養殖するには大量の海藻を冷凍しておくなどの手間がかかる。だが、冷凍すると解凍後の傷みが早いため、餌の確保が難しいという。

 そこで栗田助教らは、一年中生えていて、低コストで入手しやすく栄養価の高いクローバーに着目。クローバーの茎と葉をムラサキウニとキタムラサキウニに約2カ月間与えた。その結果、海藻を餌にしたウニと同様に成長した。宮城大食産業学群の西川正純教授らが分析したところ、味に関わるアミノ酸などの成分も変わりなかった。

クローバーを食べるウニ。中央が葉をくわえている口=福岡県福津市津屋崎の九大水産実験所で2019年6月11日午後2時、馬原浩撮影

 クローバー育ちのウニは、昆布育ちよりも黄色い食用の身の部分が色鮮やかで、血中の中性脂肪を下げるとされる種類の脂肪酸も豊富だと分かった。ウニが苦手な学生が試食したところ、「磯臭さが少なくて食べやすい」と好評だった。

 栗田助教は現在、福岡県福津市の九大水産実験所で100個程度を飼育中。実用化に向けて「水温や飼育するウニの密度を管理しながら1000個から3000個の単位で生育状況を観察し、効率的な養殖環境を見極める必要がある」と語る。

 日本の沿岸部では海水温の上昇やウニの食害で海藻が枯渇する「磯焼け」が問題化している。磯焼けした海域のウニは身入りが悪い「痩せウニ」と呼ばれ、売り物にならない。そこで、「痩せウニ」を捕ってクローバーで養殖すれば磯焼け対策になり、水産業の活性化につながるという。

 「餌には四つ葉も混じっており、見つけた時は実験の進展を祈って四つ葉もたくさん食べさせる」と栗田助教。「クローバーは低コストで、水産業者でも手軽に育てられる」として養殖技術の確立と普及に期待を込める。【馬原浩】

30年間のウニ類の漁獲量の推移

漁獲量は30年前の1/3 エサの海藻減る「磯焼け」が背景

 すしネタなどで人気のウニ。ムラサキウニやキタムラサキウニ、アカウニやエゾバフンウニなどがある。

 漁獲量のトップは例年、北海道で総漁獲量の半数を占める。岩手、青森などが続くが、長崎、鹿児島、福岡なども上位で九州もウニの産地になっている。

 農林水産省の統計では2018年の漁獲量は7100トンで、前年比500トン減。1988年には2万1800トンあり、30年間で約3分の1にまで減っている。減少の背景には、海水温の上昇や海藻が極端に減る「磯焼け」があるとされ、痩せたウニを捕まえて育てる養殖が必要とされる。

 しかし、養殖には餌となる昆布やワカメなど海藻が大量に必要で、その確保が課題だ。

 このため、青森県むつ市では昨秋から、海藻に代わってスーパーで廃棄されるキャベツや白菜の外側の葉を餌にする実験が始まった。北海道神恵内(かもえない)村では今年4月、陸上の水槽でウニを養殖する実験がスタート。また、山口県では今年3月、山口フィナンシャルグループを中心にウニ養殖の技術確立を目指す「下関ウニべーション推進協議会」が発足するなど事業化に向けた動きが進んでいる。

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