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社説

香港の大規模デモ 中国介入への拒絶反応だ

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 香港から中国への犯罪容疑者引き渡しを認める「逃亡犯条例」改正案に香港市民の反発が強まっている。9日の抗議デモでは103万人(主催者発表)が香港中心部を埋め尽くした。デモ隊と警官隊の衝突で負傷者も出ている。

 「1国2制度」で守られてきた安全が脅かされるという拒絶反応だ。香港政府は改正案の撤回に応じないという強硬姿勢を改めるべきだ。

 返還前の1997年4月に制定された条例の対象から中国は除外されている。香港政府は「香港が逃亡者天国になる」と対象に含める改正案を立法会に提出した。香港は米英など20カ国と犯罪人引き渡し条約を結んでいるが、中国は性質が異なる。

 香港には中国大陸の動乱を逃れた人々や子孫が多い。しかし、過去90年近く香港人が中国に引き渡された例はない。97年の返還後も香港にいる限り、中国の法律が適用されることはないという安心感が人心の安定を支えてきた。条例改正はその安全弁をなくす意味を持つのだ。

 返還後、中国は香港への介入を強め、民主化にブレーキをかけてきた。その反発が2014年に学生らが中心部を占拠する雨傘運動につながった。15年には中国に批判的な本を扱っていた書店店主らが失踪し、中国で拘束される事件が起きた。

 林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は政治犯を含めず、国際基準に沿って引き渡しの可否を決めると説明しているが、「1国2制度」の形骸化を懸念する市民の信頼を得られていない。

 香港をビジネスの拠点にする外国企業も警戒を強めている。外国人も対象になりうるからだ。中国で仕事をする外国人は腐敗など中国の司法制度の問題点を肌で感じている。改正の行方はアジアの金融センターとしての地位にも影響する。

 03年には中国政府の転覆活動を禁じる国家安全条例案が50万人の反対デモで撤回に追い込まれた。今回は危機感の広がりがそれ以上の規模のデモに結びついた。反対運動が簡単に収束するとも思えない。香港の安定のためには03年と同様に改正案を撤回するほかないのではないか。

 中国は香港への介入強化が中国への反発につながっていることを自覚すべきだ。香港政府に無用な圧力をかけるべきではない。

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