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社説

民政復帰のタイ政権 親軍だけでは安定しない

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 タイで2014年のクーデターを主導し、約5年にわたり軍事政権のトップとして暫定首相を務めた軍人出身のプラユット氏が首相に就任した。民政復帰に向け、3月に実施された総選挙を受けたものだ。

     選挙では、親軍政派の「国民国家の力党」が第2党に躍進したものの、下院の4分の1に届かなかった。一方、反軍政派は第1党となったタクシン元首相派の「タイ貢献党」などで半数近くを占めた。このため、親軍政派は中間派や反タクシン派に連立工作を仕掛け、19党による連立政権が発足する運びとなった。

     軍政は憲法で、特定の政党に議席が偏らない特殊な選挙制度を導入した。小選挙区に強いタイ貢献党を不利にする狙いがあったと言われる。

     また、今回の首相指名選挙では、初めて上院が投票に加わる仕組みを導入した。上院議員は事実上、軍政がすべて任命しているため、選挙前からプラユット氏続投に有利な環境が整えられていた。

     親軍政派は、下院で辛うじて過半数を確保したに過ぎない。軍への反発がそれだけ強いことを示しているのだろう。

     19党の中には反軍政派も存在する。下院は内閣不信任案や予算案の採決などを行うため、不安定な政権運営が予想される。

     総選挙では、軍政が政情を安定させ、経済を再建したと評価された面もあった。再びクーデターと総選挙が繰り返される混乱を招かぬよう、プラユット氏にはタクシン派にも配慮したかじ取りが求められる。

     タイは今年、東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国を務める。域内では最近、カンボジアやミャンマーなどで民主化が後退している。地域のリーダーとして成熟した民主主義の姿を見せてほしい。

     タイにとって日本は長年、最大の投資国だった。日系企業の生産拠点となっており、在留邦人数は7万人超と東南アジアで最も多い。

     双方の国民感情は良好で、近年はタイからの訪日観光客が増加するなど民間交流も活発化している。

     それだけに、国政の安定は日本にとっても切実な問題だ。日本は、政治レベルでのさまざまな交流を通じ、タイの民主主義の発展をサポートしていくべきだろう。

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