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研究現場は今

基礎研究基盤の揺らぎ、資金不足や就職難、高学歴ワーキングプアなど、研究現場を巡る問題は顕在化して久しいが、構造的な問題のため、効果的な解決策は見いだされていない。研究者・研究現場・学生はどう模索するのか。大学の町・京都から紹介する。

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研究現場は今

第1部 博士/2 頼りの学振、競争厳しく 進学、経済問題ネックに /京都

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 「学振が決まって良かった。学振抜きに博士課程進学は考えられないですから」。生物系を専攻する京都大大学院博士課程1年の男性(24)はそう言って、ほっとした表情を見せた。

 ここで言う「学振」とは、日本学術振興会の特別研究員の制度かつ、この制度によりもらえる生活費と研究費を指す。対象は博士課程の大学院生と博士号取得後5年未満の研究者で、採用されれば、研究費に加えて博士課程なら月額20万円、博士号を取得した研究者であれば36万2000円(2020年度)の実質的「給料」が支給される。優秀な若手を研究に専念させ、日本の学術研究を担う人材を育成させるのが目的だ。人文・社会科学・自然科学の全分野が対象で、採用率は10~15%と狭き門だ。男性が受給するのは、修士課程2年次で応募し、博士課程の3年間支給されるDC1だ。

 日本学生支援機構の「学生生活調査」によると、16年度の博士課程の生活費(学費を含む)は平均225万700円。大学などが実施するアンケートでは、博士課程進学を断念する理由として経済的な問題を挙げる学生が多いという。

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