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武田 砂鉄・評『セミ』ショーン・タン/著

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切り捨てられる時に私たちは何を思うのか

◆『セミ』ショーン・タン/著 岸本佐知子/訳(河出書房新社/税別1800円)

 「この本を書評します」と編集者に伝えたものの、この絵本は書評しないほうがいい。何の情報も入れず、30ページほどの絵本を1ページずつめくるほうがいい。説明すれば、その説明に多少は引っ張られる。引っ張られたくない人は、以降は読まずに、本を手にしてください。

 17年間、人間と一緒に働いているセミ。昇進はなし、会社のトイレすら使わせてくれない。同僚は自分のことを踏んづけてバカにする。家賃なんて払えないから、会社の壁の隙間(すきま)で暮らしている。定年を迎えたセミ、送別会なんてない。ボスから机を拭いていくように指示されたセミは、どこへ向かうのか……。

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