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手弁当で日本語指導10年 75歳、児童らに慕われ 滋賀・サンタナ学園

ボランティアで指導を続ける北村薫さん(左)=滋賀県愛荘町のブラジル学校「コレジオ・サンタナ学園」で2019年6月13日午前10時48分、大澤重人撮影

 滋賀県愛荘町にあるブラジル学校「コレジオ・サンタナ学園」で、学習参考書の元編集者、北村薫さん(75)=同県彦根市=が10年前から、小学生を対象にした日本語指導をボランティアで続けている。孫ほどの年齢の日系人児童らから慕われている北村さんの周りには、いつも子どもたちの笑顔がある。「体の続く限り、教えたい」。北村さんは張り切っている。

ボランティアで小学生に日本語を指導する北村薫さん(奥)=滋賀県愛荘町のブラジル学校「コレジオ・サンタナ学園」で2019年6月13日午前10時47分、大澤重人撮影

 「ステファニエ、『ら』を書いてみよう。いち、にー、よし、いいぞ」。3年生の女児がホワイトボードの手本を見ながらペンを動かすと、北村さんがすかさずほめた。書き順には赤で数字がふってある。この日は8人が受講し、中学年が「ら・り・る・れ・ろ」の平仮名、5年生が「先・生・年・名」の漢字を学習した。教室は縦長の小さなコンテナだ。

 学生時代に小学校などの教員免許を取得した北村さんは卒業後、学習参考書の出版社に就職。定年退職後は、ボランティアで日本語の指導を始めた。約10年前に偶然訪れたサンタナ学園で「日本語の指導者が足りない」と聞き、小学校3~6年生を対象に最初は週2回、現在は木曜に2時間、指導をしている。

 指導するのは平仮名と片仮名、漢字。漢字は1年間教えても、小学2年生までに習う分に届かない200字程度という。北村さんは「授業以外の学校や家庭はポルトガル語を話す環境なので、日本語がなかなか身につかないのが現状」と明かす。サンタナ学園は授業料がかかるため、日本の公立に通わせたがる保護者もいるが、北村さんは「公立では居場所がなく、帰ってくる子もいる」と語る。

 サンタナ学園で学んでも母国に帰国せず、日本の高校や大学に進学したり、就職したりするケースが増えており、日本語習得の必要性が高まっているが、指導者探しがネックだった。中田ケンコ校長(62)は「(学園で)ガソリン代も払えないのに、北村さんはものすごく頑張ってくれています。おかげで日本語能力試験の最難関『N1』に受かり、日本の大学に進んだ子もいる」と感謝の言葉を語る。

 ブラジル人の母語であるポルトガル語が話せない北村さんの「通訳」を務めるのは、幼稚園から小学3年まで日本の公立に通ったエミリ・ユガワさん(小学5年)。北村さんの授業を「楽しい」と即答する。授業が終わると毎回、児童全員が北村さんに歩み寄り、一緒にハグ(ポルトガル語ではアブラッソ)をする。「最初は面はゆかったですが、私もブラジルカルチャーに慣れてきまして」と北村さん。児童の熱い歓迎ぶりがモチベーションだ。【大澤重人】

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