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モリシの熊本通信

情報を見極める目をいかに養うか /佐賀

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 今週はインドネシア・ジャカルタで過ごした。世界4位の2億6000万人の人口を抱えるこの国は、天然資源にも恵まれ、経済成長が続く。林立する高層ビル。高い購買意欲。渋滞があまりにもひどいのが玉にきずだが、国としての勢いがすさまじいことに疑いの余地はない。

     街を歩くと、若者のほとんどがスマートフォンを持っていることに気付く。ショッピングセンター内で「歩きスマホ」をする人とぶつかりそうになった際には、いかにスマホが浸透しているのかを思い知った。

     一方で、スマホユーザー数の拡大に伴い、インドネシアではデマやフェイク(偽)ニュースのまん延が大きな社会問題となっているようだ。例えば、毎日新聞の報道によると、4月に実施された大統領選挙と総選挙の期間中、候補者を陥れるようなフェイクニュースがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で広まり、逮捕者を出す事態に発展したという。

     同様に、災害時におけるデマやフェイクニュースも、人々を混乱に陥れている。今回面会した現地のメディア関係者によると、昨年9月に同国スラウェシ島を地震と津波が襲った際、「より強い地震が起こる」「市長が死亡した」といった誤った情報がSNS上で拡散。当局が否定する作業に追われた。

     筆者は、2016年の熊本地震の際、実際に誤情報に振り回された経験を持つ。当時、地震発生直後から「動物園からライオンが逃げ出した」「ショッピングセンターで火災」など、数多くの誤った情報がネット上にあふれた。避難生活を送る極限状態では、判断力が低下し、何を信じればいいのか分からなくなることを実感した。

     18日夜、日本海沿岸部などで発生した、最大震度6強を観測する地震でも、SNS上で真偽不明の情報が流れた。ちょうど、ジャカルタでフェイクニュースについて議論した日の夜。現地メディアの編集者が「抜本的な対策は難しいかもしれない」と話してくれた直後の出来事だっただけに、簡単な問題ではないと改めて痛感した。

     公的機関だけに任せるのは限界がある。国民一人一人に対する情報の信頼性を判断するためのトレーニングなども、今後一層必要になってくるだろう。春に開通したばかりの地下鉄車内で、スマホ画面に目を落とすジャカルタの若者らを見つつ、そう感じた。


     ■人物略歴

    田中森士(たなか・しんじ)

     マーケティング会社「クマベイス」(熊本市)代表取締役、ライター。熊本県立高常勤講師、全国紙記者を経て古里の熊本市で起業した。熊本地震後は、復興支援活動に携わりながら、執筆やイベントを通し、被災地の現状を伝えている。モリシは愛称。熊本市南区在住。

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