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池澤夏樹・評 『真実の終わり』=ミチコ・カクタニ著、岡崎玲子・訳

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 (集英社・1836円)

抵抗し続ける努力促す

 トランプ米大統領の政治が欺瞞(ぎまん)に満ちていると考える者は少なくない。ワシントン・ポストによれば彼が就任からの一年で口にした欺瞞ないし誤解を招く発言は二千百四十回。一日あたり五・九回。

 しかしまたこういう男を受け入れてむしろもてはやす人々も多いのだ。この現象はアメリカだけでなく、世界各地で見られる。我らが日本においても、安倍政権は森友学園と加計学園を巡る糊塗(こと)・隠蔽(いんぺい)や「フクシマの状況はアンダーコントロール」という首相の発言など、まるで欺瞞の総合商社だ。それでも政権は支持を得ているのはどういうことか?

 ミチコ・カクタニはアメリカで最も信頼される文芸評論家である(日系二世)。その彼女がこの問題と取り組んだのが本書。「真実の終わり」というタイトルはすべてが相対化されてしまう時代の相をよく表している。原題は「真実の死」だからもっときつい。

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