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張競・評 『桃源の水脈 東アジア詩画の比較文化史』=芳賀徹・著

 (名古屋大学出版会・3888円)

忘我の恬淡さで理想郷を語る

 古代中国では桃の木に霊力が宿ると信じられ、桃の実を食べると不老不死になるという伝説もあった。陶淵明が桃源郷の風景を叙したとき、桃林のことを格別に美しく描いたのも、そのような桃のイメージが念頭にあったのであろう。

 しかし、桃源郷は仙境ではなく、そこに住まう人々も生死を超脱した、不老不死の存在ではない。彼らは皆どこの村里にもいそうな人たちばかりである。桃源郷が人々を魅了したのは、管理を必要としない秩序、力によらない平和があるからだ。人々は隣人愛と信頼によって結ばれており、そこには行き過ぎた欲望も、他者との争いもない。過剰な豊かさはないが、人々はみな心が満ち足りている。

 陶淵明以来、東アジアの人たちは桃源郷に寄せる思いを夢の枕にして暮らし、長い歴史のなかで多くの詩歌や…

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