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<kyoiku no mado>
厚い曇に覆われた空の下で犬の鳴き声が響き渡っている。埼玉県春日部市のフリースクール「自然学園中学部」1年の海斗さん(仮名)の顔はこわばっていた。「……どこにいるの?」
6月5日朝、自然学園中の1~3年生は芋掘りの授業で学校近くの畑に来ていた。「大丈夫だよ」。同じクラスの健太さん、優哉さん、秀太郎さん(いずれも仮名)や先生がなだめるが、「僕、耳がとても敏感なんです。こんな耳、もう嫌だよ」とうつむいた。自宅に生き物の図鑑を何冊もそろえ、恐竜にまつわる展示が豊富な国立科学博物館(東京)へ足しげく通うほどの生き物好き。でも、犬の鳴き声には拒絶反応を起こしてしまう。昨年の芋掘りは犬の鳴き声が聞こえた瞬間、車から出られなくなった。
この日は耳に入る音を抑えるヘッドホンのような「イヤーマフ」を着けたが、安心できず、少しでも耳との隙間(すきま)を埋めようと、先生や記者の手をとってイヤーマフに押し当てた。
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