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にほんでいきる

外国人の高校入試に地域間格差 問題へルビなど措置実施、約半数の都道府県のみ

高校進学を目指す外国籍の若者が勉強する学習支援教室「多文化ルームKIBOU」=愛知県西尾市で2019年5月23日午後1時45分、太田敦子撮影

 外国人の子どもに対する公立高校の入試制度が自治体によってばらつきが大きく、地域間格差が生じていることが、研究者らのグループによる全国調査で明らかになった。高卒資格は職業選択にも大きな影響を及ぼすだけに、グループは「誰もが同じチャンスを得られるよう制度を改善すべきだ」と指摘している。

 調査は愛知淑徳大の小島祥美准教授らでつくる「外国人生徒・中国帰国生徒等の高校入試を応援する有志の会」が、都道府県と政令市を対象に実施した。昨春実施の高校入試について、外国人生徒に対する問題文へのルビふりや試験時間の延長などの措置と、特別の入学枠があるか聞いたところ、全日制で措置がある都道府県は約半数の23、入学枠を設けていたのは16にとどまっていた。

 日本語指導が必要な児童生徒の多い10都府県では、全日制の措置は神奈川、東京、大阪、滋賀はあるが、愛知や静岡などはない。入学枠は滋賀以外はあるが、合格者数は東京116人▽神奈川111人▽大阪85人▽愛知26人▽静岡21人――などと開きがあった。

 受験資格も異なる。ブラジル人学校など外国人学校中等部の修了者に受験資格を与えるかは各都道府県教委の判断に委ねられており、東京や神奈川は資格があるが、愛知や静岡はない。大阪は生徒ごとの個別判断で対応していた。

 愛知県は日本語指導が必要な児童生徒数が全国最多だが、高校生の割合は目立って少なくなる。その要因について、学習支援にあたるNPO法人の関係者は「資格や日本語能力から受験を諦めざるを得ない若者らが多い」と高校入試での壁を問題視する。一方で県教委は「高校入学までに手厚い日本語指導を受ける中で、日本語指導が不要になった子どもたちがいる」と小中学校などでの成果を強調し、両者の見解は食い違っている。

 小島准教授は「住む場所や来日時期は親の都合で決まることが多い。本人の能力以前に、地域によってスタートラインに違いがあってはいけない」と話している。【太田敦子】

高校進学を断念 中卒扱いされないブラジル人学校卒業生 

 全国で最もブラジル人住民の多い愛知県にはブラジル人学校が12校あり、約1200人が通う。日本人と同じ高校で学びたいと望む子どももいるが、中卒扱いとされず進学のハードルは高い。

 息子(16)を同県内のブラジル人学校に通わせている会社員、ジョゼファ・ドアルテ・デカストロ・ドサントスさん(59)=同県西尾市=は「この先日本で生きていく息子は、本当は日本の高校に行かせたかった」と打ち明けた。

 一家は2008年のリーマン・ショックで母国に戻り、2年前に再来日した。息子は日本の小学校で学んでいたが、母国で日本語をずいぶん忘れ、時期的な問題もあってブラジル人学校中等部に編入した。

 息子本人は日本の高校への進学を望み、地元の社会福祉法人が運営する学習支援教室に通ったが、受験資格がなく断念。そのまま高等部に進んだ。ジョゼファさんは「将来の可能性を狭めてしまった。帰国を後悔している」と話す。

 外国籍の子どもらを支援する同県豊田市のNPO法人「トルシーダ」の伊東浄江代表は「外国人学校は母国での大学進学や留学を目指す場合はいいが、実際は日本で働く生徒が多い。日本語や社会のルールが十分わからず、卒業後に職を転々とするケースも少なくない」と懸念する。

「日本語指導が必要な児童生徒数」上位10都府県の全日制高校入試対応

<愛知県>7277人(242人)、×、○、×

神奈川県 3947人(552人)、○、○、○

東京都  2932人(526人)、○、○、○

静岡県  2673人(228人)、×、○、×

大阪府  2275人(274人)、○、○、△

三重県  2058人(221人)、×、○、×

埼玉県  1762人(175人)、×、○、○

千葉県  1489人(160人)、×、○、×

岐阜県  1300人(103人)、×、○、×

滋賀県  1059人(74人)、○、×、○

 ※左から都府県名、児童生徒数(うち高校生の数)措置、入学枠、外国人学校修了者の受験資格――の順。小島准教授ら調べ。児童生徒数は文部科学省の2016年調査

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