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研究現場は今

基礎研究基盤の揺らぎ、資金不足や就職難、高学歴ワーキングプアなど、研究現場を巡る問題は顕在化して久しいが、構造的な問題のため、効果的な解決策は見いだされていない。研究者・研究現場・学生はどう模索するのか。大学の町・京都から紹介する。

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研究現場は今

第1部 博士/3 人材確保へ、各大学支援策 経済面以外にも、進学に不安要素 /京都

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博士課程進学者の減少について「教育研究の質の維持・向上が課題となり得る」とする京都大=京都市左京区で、大学情報室撮影
博士課程進学者の減少について「教育研究の質の維持・向上が課題となり得る」とする京都大=京都市左京区で、大学情報室撮影

 「博士離れによって大学の研究のアクティビティーが低下し、我が国の学術研究の地盤沈下を招くことを危惧している」

 博士課程進学者が減ることの問題点について、東京大は毎日新聞の取材にそう指摘する。国の2018年度学校基本調査によると、大学院の博士課程進学者は1万4903人。社会人が4割以上、留学生が1割強を占めるが、前年よりは137人増えており、減少の一途だったこの数年を見れば回復の兆しといえるかもしれない。

 ただ、修士課程修了者に占める就職者の割合は78・5%で、8年連続で上昇し、過去最高を記録した。企業の人手不足を背景に「売り手市場」が続き、優秀な人材がどんどん企業へ流出する状況にある。やはり「博士離れ」は進んでいるといえるのだろう。

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