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SUNDAY LIBRARY

上原 隆・評『9条入門』『私のイラストレーション史』

鋭い社会批評の奥には生きることの喜びがあった

◆『9条入門 「戦後再発見」双書8』加藤典洋・著(創元社/税別1500円)

◆『私のイラストレーション史』南伸坊・著(亜紀書房/税別1800円)

 「9条にやられちゃったよ」と加藤典洋さんはベッドの上で力なく笑った。見舞いに行ったときのことだ。この1、2年、加藤さんは憲法9条の制定過程の解明に打ちこんできた。そして、ある日突然、階段を上がるのがつらくなり、病院へ行くと、深刻な病に侵されていることがわかった。入院後に『9条入門』は刊行された。読むと、9条制定に関わるあらゆる資料を渉猟していたことがわかる。9条は、敗戦後、短時日のうちにマッカーサーが考え、日本政府に与えられたものだった。理由は二つ、ひとつは天皇の戦争責任を免罪するため、もうひとつは戦争放棄の理想国という実績をもってアメリカ大統領になるというマッカーサー自身の野心のためだった。しかし、朝鮮戦争がはじまると同時に、その理想は脆(もろ)くも崩れることになった。

 もし、マッカーサーから9条が与えられなかったとしたら、と加藤さんは書く。敗戦時、誰もが「戦争はもう…

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