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平松 洋子・評『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』中川裕・著

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物語世界の奥行きを引き出すアイヌへの真摯な眼差し

◆『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』中川裕・著(集英社新書/税別900円)

 野田サトルの漫画『ゴールデンカムイ』の群を抜くおもしろさは、いうまでもないだろう。

 舞台は明治末期、日露戦争直後の北海道。アイヌが秘蔵していた莫大(ばくだい)な金塊のありかを秘密裏に伝えるため、網走監獄に収監中の囚人たちの皮膚に入れ墨が彫られ、脱獄。かくしてアイヌを巻き込んだ壮絶な「刺青人皮」の争奪戦がはじまる……奇想天外なサバイバルに、ページをめくる指が止まらない。昨年はテレビでアニメ化され、手塚治虫文化賞でマンガ大賞を受賞し、話題をさらった。

 本書は、『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修を務める千葉大学文学部教授、中川裕(ひろし)によるもの。漫画の場面を手がかりにしてアイヌの歴史や文化のエッセンスを詳細に解説、リアルな生活文化の手触りが伝わってくる読み応えだ。アイヌ固有の伝統文化、『ゴールデンカムイ』のオリジナルな物語、同時にふたつの世界へ誘い、きわめて風通しのいいおもしろさ。

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