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トランプ氏のドル安誘導 為替の政治利用は有害だ

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 たびたび米国の中央銀行に利下げ圧力をかけ、その独立性を脅かしてきたトランプ米大統領が、攻撃の矛先を外国の中銀にまで向け始めた。

 域内経済の悪化に金融緩和で対応する可能性を示唆した欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁を、ツイッター上で名指し批判した。ドラギ氏の発言後、ユーロが対ドルで下落したのが気に入らなかったようだ。ユーロ安・ドル高は米国の貿易赤字を拡大させる、との理由から、問題視している。

 トランプ氏はこれまで、自国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)に対し、公然と利下げを要求してきた。それ自体、大統領として常識を欠くのだが、今度は自由主義の価値を共有する欧州の中銀に向けた批判である。

 ECB攻撃のツイッターには「中国や他の国々とともに(不公正をやり続けてきた)」とあった。将来、日本が矢面に立たされる可能性も否定できない。また、あおりを受けて円高が急激に進む恐れもある。

 トランプ氏がECBの政策に干渉しようとするのは、FRBがドル安効果の期待がある利下げに踏み切ったとしても、ECBの政策次第で、効果が相殺されかねないためだ。

 しかし、地球規模で巨額の取引がある為替を、思うように操作するのは不可能だ。無理に金融緩和を繰り返させたらどうなるか。各国が追随し自国通貨防衛の緩和の応酬となれば、世界経済は過熱し、バブルやその崩壊を招きかねない。

 確かに世界経済の悪化を懸念する向きはある。だが、トランプ氏が始めた対中貿易戦争に起因する面が大きい。ならば、自らの行動で、事態を好転させることもできるはずだ。

 28、29日と日本で主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる。世界を震撼(しんかん)させたリーマン・ショック後、各国首脳が経済安定化に協調してのぞむ姿勢を打ち出したのがG20首脳会議の始まりだった。

 すでに史上最低水準にある金利を一段と押し下げるような政策を政治指導者が要求し、世界経済を再び不安定化させることは許されない。

 グローバル経済は、一国の勝ちが他国の負けを意味するゼロサムではない。少なくともそのことをG20の首脳らは再認識する必要がある。

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