日本列島の太平洋側を流れる黒潮。その流路が紀伊半島から東海地方沖で南へ大きく蛇行する「黒潮大蛇行」が、2017年8月から続いている。過去にも何度か確認され、漁業や生物などへの影響も生じている。発生の仕組みや影響、今後の見通しを探った。【信田真由美】
●海山にぶつかり成長
通常の黒潮は、紀伊半島南端の潮岬(しおのみさき)(和歌山県串本町)沖から日本列島に沿って直線状に流れる「非大蛇行接岸流路」=図(1)=と、遠州灘から関東近海で沖合へ小さく蛇行する「非大蛇行離岸流路」=図(2)=がある。海洋研究開発機構によると、黒潮は、伊豆諸島沿いの海底にある山脈「伊豆海嶺(かいれい)」の切れ目を抜ける。この切れ目は大別すると2カ所あり、どちらを通るかによって「接岸」か「離岸」かが変わる。二つのパターンは代わる代わる起き、離岸しても数カ月で接岸流路に戻る。
一方、大蛇行=図(3)=は紀伊半島沖から東海沖にかけて大きくU字形に曲がって流れる。その発端は、九州南東沖で生じた反時計回りの渦の周りにできる小蛇行で、黒潮に乗って東へ進みながら成長して大きくなる。
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