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地球の肺を守ろう~コンゴ熱帯雨林保護の最前線から(5)保全と貧困削減の二兎を追う=大仲幸作

伐採現場にて環境省同僚及び現場監督者と=2019年2月撮影(大仲幸作さん提供)

 2019年6月5日、国会において国有林野法が改正され、国有林において民間企業に長期間にわたり森林の伐採権を与える政策、いわゆる「コンセッション」を導入することが決まりました。

     この「コンセッション」、実は熱帯林で木材を生産するための中心的な政策として、多くの途上国において既に導入されています。ここコンゴ民主共和国でも、何と50カ所以上、面積にして約1000万ヘクタール(北海道と四国を足したくらいの面積)の「コンセッション」が民間企業と契約されています。

     今回、2019年2月に行ったコンゴ盆地のキサンガニ市への出張では、この「コンセッション」による熱帯林伐採の現場を視察する貴重な機会を得ることができました。

     視察先の企業はCFTといい、コンプライアンス(法令遵守)や情報開示を徹底することで、当地の業界において高く評価されていました。同社のスタッフは「我々は資源が枯渇しないように計画的に木材伐採を進めている。近々、国際認証も取得予定だ」と自信に満ちた表情で私たちに説明し、伐採箇所を記した地図から樹種ごとの伐採量データまで、ためらうことなく見せてくれました。同社はまた、周辺地域において数百人に上る雇用を創出しているだけではなく、道路の補修から学校、医療などの建設まで、ぜい弱な行政機関に代わり取り組んでいるとのことでした。

    コンセッション現場周辺の集落=2019年2月撮影(大仲幸作さん提供)

     視察先では、確かに日本と比べてもそん色のない森林経営が行われていました。ただ熱帯林には作業道が縦横無尽に切り開かれ、貯木場には「地球の肺」で伐り出された巨木が山積されていました。気候変動対策や生物多様性保全などの観点から、熱帯林の取り扱いが我々人類の生存にとって緊急の課題であることは一目瞭然でした。

     現在、コンゴ盆地では、貴重な熱帯林を保全すべきだと強く主張する先進国グループと、保全だけではなく、木材生産や農業生産、鉱業開発なども推進すべきとするコンゴ政府の意見が鋭く対立し、外交問題化しています。

     ここで明確に言えることは、先進国の立場から貧困国の政策に一方的に口をはさむだけでは問題は決して解決しないということ。そして、現状では残念ながら、世界全体のこの問題への関心、理解そして支援など、すべてのものが絶対的に不足しているということです。

    熱帯原生林に切り開かれる作業道=2019年2月撮影(大仲幸作さん提供)

     私の同僚であり上司でもある環境省のトイランベ次官は、「(国土の約7割を占める)熱帯林は地域の貧困削減や国家財政に寄与しなければいけない」といつも熱弁を振るいます。

     熱帯林の保全と地域の貧困削減――。二兎を追い求めることは果たして可能なのでしょうか。現場レベルでは革新的な環境政策の導入が今、強く求められています。(つづく)


    大仲幸作(おおなか・こうさく)1999年に農林水産省入省。北海道森林管理局、在ケニア日本大使館、農水省国際経済課、マラウイ共和国環境省、林野庁海外林業協力室などを経て、2018年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザー(JICA専門家)としてコンゴ民主共和国環境省に勤務。

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