ハンセン病隔離政策 国に家族への賠償命じる 差別助長を認定 熊本地裁

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 約90年に及んだハンセン病患者の隔離政策により家族も深刻な差別を受けたとして、元患者の家族561人が国に1人当たり550万円(総額約30億円)の損害賠償と謝罪を求めた集団訴訟の判決で、熊本地裁は28日、隔離政策が家族への差別も助長したと認定し、初めて家族への賠償を命じた。遠藤浩太郎裁判長(佐藤道恵裁判長代読)は「隔離政策は家族が差別を受ける社会構造を生み、憲法が保障する人格権や婚姻の自由を侵害した」と指摘。原告541人に総額3億7675万円を支払うよう国に命じた。

 隔離政策を違憲として元患者への賠償責任を認めた2001年の同地裁判決(確定)の内容を踏襲しつつ、救済範囲を家族にまで拡大した。01年判決については、当時の小泉純一郎首相が控訴を断念して元患者に謝罪している。国が今回も控訴しなければ、ハンセン病問題の「残された課題」とされた家族の全面救済に大きく近づくことになる。

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