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社説

ハンセン病差別と家族 画期的な被害認定の拡大

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 ハンセン病患者の隔離政策で家族も差別を受け、人権を侵害されたとして熊本地裁が国に賠償を命じた。これまで光が当てられていなかった家族の被害を司法が初めて認め、救済の道を開いたことは画期的だ。

     隔離政策を巡っては熊本地裁が2001年、患者の人権侵害を違憲と判断した。国は元患者らには補償などを行ってきたが、家族の被害は認めず、謝罪も拒否してきた。

     判決は、隔離政策が家族への偏見・差別を助長したにもかかわらず、国がそれを放置したとして、賠償責任を認め、総額約3億7000万円の支払いを命じた。

     判決で示された家族の差別被害は、学校側の就学拒否や村八分、結婚差別、就労拒否など多岐にわたった。判決は、これらの差別が患者だけでなく家族にも「個人の尊厳にかかわる人生被害」をもたらしたと断じた。家族も患者と同様の被害を受けたと司法が認めた意義は大きい。

     国が「被害がない」と主張した13年時点でも社会的に無視できない程度の差別被害があったと指摘した。

     今回の訴訟を機に母親が元患者だと妻に初めて伝えた男性は、これを理由に離婚された。男性は母親と共に妻の実家で土下座したが、妻の親族から罵声を浴びせられたという。

     肉親間の断絶も招いた。家族は差別を受けないように患者を隠した。生きているにもかかわらず、死んだことにした原告もいた。肉親の存在を秘密にせざるを得ない生き方を強いられた。

     戦前戦後と続いた「無らい県運動」は、地域から根こそぎ患者を強制収容する究極の隔離政策だった。「恐ろしい伝染病」の患者予備軍として家族も迫害された。

     国は判決を真剣に受け止め家族に謝罪すべきだ。元患者が対象のハンセン病問題基本法を改正し、家族も被害者だったと明記することも検討の余地があるのではないか。

     ハンセン病は感染力の弱い感染症であり、遺伝はしない。現代の日本では新規の患者は皆無に近く、発症しても完治する。正しい知識を普及啓発することも重要だ。

     誤解に基づく人間の差別心を改めて浮き彫りにした訴訟だった。私たちもハンセン病に抱く偏見から今度こそ決別しなければならない。

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