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余録

岸信介元首相はとかく日米安保条約改定の…

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 岸信介(のぶすけ)元首相はとかく日米安保条約改定のイメージが先に立つ。だが、韓国との国交正常化にも積極的だった▲1957年2月、首相就任の当日に韓国の次期外務次官に会った。「過去の植民地支配の過ちを深く後悔し、早急な関係正常化がなされるように最大の努力を尽くす」。当時の李承晩(イスンマン)大統領へのメッセージを託した(「検証日韓会談」)▲その孫である安倍晋三首相は岸政治をお手本にしていると言われる。しかし、こと韓国に関しては遺伝子をあまり受け継いでいないのかもしれない。主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が29日まで大阪で開かれたが、そこで韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領との正式会談を行わなかった▲時間が取れなかったわけではない。首相は立ち話を含め15を超える国や地域、国際機関の代表と会談している。でも文氏とは席に着かなかった▲2国間関係が難しい状況でも、政治指導者の決断次第で大きな改善が図れる外交の可能性を示したのが98年の小渕恵三首相と金大中(キムデジュン)韓国大統領との会談だった。過去を直視しつつ未来志向の関係に変える「日韓共同宣言」に署名した。だが、慰安婦、徴用工の問題が視線を過去に引き戻す▲民間交流が拡大している状況は救いだが、非営利団体「言論NPO」が有識者による7回目の「日韓未来対話」を開こうと寄付を募ったところ、企業・団体からの協力が半減したそうだ。きっと今の政治状況へのそんたくなのだろう。岸氏も草葉の陰で心配しているに違いない。

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