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社説

G20大阪サミット閉幕 米中摩擦の緩和に至らず

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 大阪を舞台に日本初の主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が開かれ、2日間の日程を終えた。世界経済や地球環境を巡る多くの課題に直面する中、日本は議長国としてかじ取りを問われた。

     最大の焦点となったのは米中貿易戦争への対応だ。だが米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席の会談は休戦に合意する程度にとどまり、G20として摩擦緩和に向けた協調態勢を築くには至らなかった。

     両首脳の会談は世界経済の行方を左右するものとして、世界から注目された。トランプ氏は不調に終われば中国からの全輸入品に制裁関税を課す方針を示していたが、会談後に発動を当面見送ると表明した。

    グローバル経済の分断

     全面対決に発展すれば、世界経済が深刻な打撃を被るのは必至だった。高関税で負担の増す米国企業の反発も強く、トランプ氏も考慮せざるをえなかったのだろう。

     とはいえ打開のめどは立っていない。貿易不均衡の是正というレベルを超え、安全保障に直結するハイテク覇権争いに発展しているからだ。

     心配なのは、米中が自国に有利な経済圏を作るブロック化を進め、グローバル経済が分断されることだ。

     米国は、次世代通信技術5Gで世界をリードする中国ファーウェイ(華為技術)の排除に乗り出し、同盟国にも同調を迫っている。対抗して習氏はサミット前、ロシアのプーチン大統領と会談しファーウェイとロシア通信大手の提携に合意した。

     トランプ氏は習氏との会談後、米国からのファーウェイ向け部品販売は容認する意向を示した。だが、中国との取引の一環で、米国などからファーウェイ製品を締め出す基本姿勢は変えていないとみられる。

     米国は、中国政府がハイテク産業に過度な補助金を出していると批判する。だが官民一体の産業育成は中国特有の国家資本主義の根幹だ。習指導部には譲れない一線である。

     今年は冷戦終結から30年に当たる。中国の台頭に象徴される経済のグローバル化が進んだ。米国企業が日韓の部品も使って中国で生産し、高性能で割安なスマートフォンなどが世界に出回るようになった。米中対立が長引くと、冷戦後の発展を支えた国際分業が寸断されかねない。

     本来、世界経済の安定に協調するのがG20だ。だが「米国第一」を掲げるトランプ政権の発足で空洞化し今回も役割を果たせなかった。

     象徴的なのは、保護主義に反対する文言を首脳宣言に盛り込めなかったことだ。トランプ政権の意向で消えた昨年の宣言に続くものだ。

     2008年のリーマン・ショック後に始まったG20サミットは「反保護主義」を宣言に明記していた。G20は体制が違う国の集まりだ。それでも経済のグローバル化で協調の必要性が高まり、最低限の共通認識としたのが「反保護主義」だった。

     今回も米中対立に懸念の声が相次ぎ、宣言は「貿易を巡る緊張は世界経済のリスク」と明記した。だが米中が意に介した形跡はない。休戦も米中の駆け引きの産物だ。

    プラごみでは一定成果

     かつて米国と国際協調を担った欧州でも協調重視派は退潮傾向にある。米中のパワーゲームに世界が振り回されているのが実態だ。

     議長国の日本は協調立て直しに努めた。世界貿易機関(WTO)の改革を首脳宣言に盛ることを主導したのは日本だ。中国に補助金是正などを促す仕組みを目指し、米国を多国間の枠組みにとどめる狙いだ。

     経済のデジタル化に応じた国際的なルール作りや、プラスチックごみによる海洋汚染対策でも一定の成果をあげたと言えよう。

     もっとも日本の役割は限られた。政府はそもそも「反保護主義」の文言は困難とみていた。安倍晋三首相は会議で「貿易制限の応酬はどの国の利益にもならない」と呼びかけたが、それ以上踏み込まなかった。貿易交渉中の米国を刺激したくないとの思惑が働いたのではないか。

     何より必要なのは、米中が今後の協議で共存を探ることだ。大国として世界経済の安定に責任がある。

     トランプ氏には、対中強硬姿勢を保てば大統領選に有利、との計算もあるのだろう。選挙目当てで世界を混乱に巻き込むのは許されない。

     中国の国家資本主義も国際的に異質な体制だ。補助金に依存する体質から抜け出すことは中国の安定成長に役立つはずだ。中国が自主的に取り組むべき課題である。

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