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社説

板門店での米朝会談 派手な演出よりも内実だ

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 ひょうたんから駒のような形で実現したこの会談を、外交成果と呼ぶには慎重であるべきだろう。

     韓国を訪問したトランプ米大統領が、南北軍事境界線のある板門店で北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談した。

     外交の常識からはかけ離れた展開だった。トランプ氏は主要20カ国・地域(G20)首脳会議のために大阪に滞在中、自らのツイッターを通じて金氏に「握手してあいさつするだけでも」と面会を呼びかけた。その投稿を見て「驚いた」という金氏が応じて急きょ会談が実現した。

     しかも、両者は多くのメディアに囲まれて軍事境界線上でにこやかに握手を交わし、トランプ氏はそのまま現職の米大統領として初めて北朝鮮側に足を踏み入れるという派手な演出もなされた。

     今年2月のハノイ会談が決裂し、先行きの不透明感が増していた米朝関係である。それが一転して急ごしらえのトップ会談となった背景には、双方の国内事情がある。

     トランプ氏は、再会した金氏を前に「歴史的な出来事だ」と自画自賛し、オバマ前政権当時の米朝関係がいかにひどかったかを強調した。来年の大統領選に向け、朝鮮半島の緊張緩和を自らの外交成果として誇示しようとしているのは明らかだ。

     同じく核問題を抱えたイランに対しては一方的に核合意から離脱し、中東情勢を緊迫化させる側に回っている。その姿勢に一貫性はない。

     金氏にとっては不調に終わったハノイ会談後の行き詰まりを立て直し、自らの求心力を高めるのに面会の誘いは好都合だったに違いない。

     米朝首脳の再三の接触は朝鮮半島の緊張緩和に寄与するだろう。しかし、外交は個人の交友ではない。北朝鮮の非核化という課題の解決に結びつけてこそ意味がある。

     米国は、北朝鮮への制裁緩和には全面的な非核化が必要と主張している。北朝鮮は、段階的な非核化措置による制裁の緩和を求めている。両政府の立場の隔たりは大きく、非核化の定義についてすら合意を見ていないのが実情だ。

     トランプ氏は米朝間で近く実務者協議を始めると語った。失敗した過去の教訓を踏まえ、実質的な話し合いを積み重ねる必要がある。

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