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データ流通のG20合意 覇権争いを止められるか

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 日々のインターネット上でのやりとりを蓄積した膨大なデータは「21世紀の石油」とも呼ばれる。

 こうしたビッグデータを解析して活用すれば、新産業の創出など富の創造や、医療の高度化など公益に役立つと期待されているからだ。

 大阪で開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議は、国境を越えた自由なデータ流通ルールの策定交渉を「大阪トラック」と名付け、推進することで合意した。各国バラバラの個人情報保護策などを整える。

 どの国も自由にビッグデータを使えるようにして、幅広い技術革新を後押しする狙いだ。G20議長国の日本が提唱した。安倍晋三首相は来年6月の世界貿易機関(WTO)閣僚会合までに成果を出す方針という。

 G20を含むWTO加盟国は7月にも本格交渉に入る。だが、米欧や中国は、ビッグデータをめぐる覇権争いを展開している最中だ。

 米国は「GAFA」と呼ばれる巨大IT(情報技術)企業4社などによるデータ寡占状態を維持したいのが本音だ。そのため、データの扱いを企業任せにしている。GAFAは何十億人もの利用者から集めた購買やSNS(交流サイト)の履歴などのデータを商品広告に活用し、自社の利益を拡大している。

 中国は約14億人の国民から集められたデータの国外移転を原則禁じ、自国IT産業の競争力を高めようとしている。データの国家管理は一党独裁体制維持のための国民監視の道具にもなっている。

 欧州連合(EU)が厳格な個人情報保護規則を導入した背景には、GAFAに対抗する思惑もある。

 トランプ米政権登場以降、顕著になった貿易摩擦がデータにも及んでいる。このままではデータが世界の経済成長や公益のために使えなくなる。各国のルールが違っては個人情報が十分に守られない懸念もある。

 日本では個人が特定されないようにデータを加工すれば、企業が外部に提供できる。この方式を参考に国際ルール策定を促す方針だ。

 だが、米国は今後のデータ流通の基盤となる次世代通信規格「5G」から中国企業を排除するなど覇権固めに走っている。

 日本が目指すデータの自由な流通を実現するためのハードルは高い。

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