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日米安全保障条約に関するトランプ米大統領の発言が、再び波紋を広げている。米国が一方的に日本防衛義務を負うのは不公平との趣旨だ。
日本滞在中の記者会見では、条約改定の必要性を「半年間」安倍晋三首相に伝えてきたと明言した。
一連の発言は来年の大統領選向けとみられている。次元の異なる安保と通商を露骨に絡ませ、米国第一主義を貫くのがトランプ流だ。このため、真に受け過ぎると大統領の術中にはまって日本が貿易交渉で大幅な譲歩を迫られる可能性がある。
ただし、「首脳会談での公式発言ではない」との理由から日本政府が放置するのは決して賢明ではない。トランプ氏を支持する米国民の間で日米安保への誤解が広がったり、日本国内で対米自立などの極論が芽生えたりする恐れがあるからだ。
1952年発効の日米安保条約は、戦後日本の安全保障を米国に委ねるという吉田茂政権の選択だった。60年の安保改定で米国の対日防衛義務が明記され、現在まで続く日米同盟の基本形が成立する。
日本は米国を守らないという「片務性」をトランプ氏は攻撃しているが、日本の基地提供義務が、米軍の東アジア戦略にとって死活的に重要なことを度外視している。しかも日本が在日米軍の駐留経費について米国の他の同盟国よりも巨額の負担をしてきたことも考慮していない。
他方で、米国が「世界の警察官」的な立場から徐々に後退しつつあることには十分な注意を払う必要がある。安保政策の立案は国際情勢の変化と無縁ではいられない。
しかし、だからといって対米ナショナリズムによりかかった自主防衛論や日本の核武装論は、あまりに非現実的だ。冷戦構造が残り、核保有国に囲まれた日本が軍事一辺倒で対抗しようとしても展望はない。トランプ発言を奇貨として憲法改正を唱えるのも論理の飛躍がある。
冷戦後、アジア太平洋地域の平和と安全に寄与する「公共財」と再定義された日米同盟である。トランプ流の圧力でそれを弱体化させたら、米国主導の国際秩序に挑戦している中国の思うつぼだろう。
同盟は双方の国民が理解してこそ強くなる。最適な日米関係を追求する冷静な議論がここは必要だ。
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