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岡崎 武志・評『K2 復活のソロ』『いくつになっても』ほか

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今週の新刊

◆『K2 復活のソロ』笹本稜平・著(祥伝社/税別1800円)

 蒸し暑くなってくると、せめて読書は涼しくありたい、と思うものだ。山岳小説の名手・笹本稜平の新作『K2 復活のソロ』は、なにしろ真冬のヒマラヤが舞台だ。文句なく寒くなる。

 天才クライマー・奈良原和志が、ヒマラヤ最後の課題と目されるルートの冬季ソロ登攀(とうはん)に挑む。ソロに懸ける思いの背景に、パートナーを事故で失う苦い体験があった。和志のスポンサーである企業の技術者・柏田を落石事故で死なせてしまったのだ。

 ネットの誹謗(ひぼう)中傷と、柏田の両親が訴訟を起こすという多難が和志を追いつめる。失意の中、あえて託された課題がソロによる「冬のK2」だった。すべてを拒絶する「巨大な『NO』とでも言うべき存在」に挑むことで、灰になったクライマーが再生していく。

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