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武田 砂鉄・評『ベストセラー伝説』本橋信宏・著

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データや根拠に頼らず思いつきと偏愛で勝負

◆『ベストセラー伝説』本橋信宏・著(新潮新書/税別760円)

 当方、老舗出版社に10年間ほど勤めていたので、社内外の編集者の常軌を逸したあれこれを頭に備蓄している。「あの頃は良き時代だった」という昔話にひた走る出版回顧録は数知れず、そこに抗(あらが)いたいと思いつつも、ある時代に通底する「やっちゃえ!」という勢い任せが機能していた光景に、憧れは募る。

 緻密なマーケティングによって拡大する現代のベストセラーと異なり、昭和のベストセラーは操縦不能の奇抜さに満ち溢(あふ)れている。過ぎ去った時代の残臭を嗅ぎ取る名手による本書は、「夕陽の向こうに消えていった」ベストセラーを作り上げた人々の声が詰めこまれている。

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