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Country・Gentleman

2020年4月に亡くなった作家でナチュラリストのC・W・ニコルさんによるコラム。

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ワインと馬のすてきな関係=C・W・ニコル

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ブドウ畑を耕す雪丸=C.W.ニコル・アファンの森財団提供
ブドウ畑を耕す雪丸=C.W.ニコル・アファンの森財団提供

 <カントリージェントルマン>

 近ごろはレストランでワインを注文すると、店員がアドバイスしてくれる。襟元に大抵、金色の小さなバッジが輝いている。一房のブドウをかたどったバッジは、ワインの専門家たるソムリエの証し。

 アファンの森近くのサンクゼール・ワイナリーに、フランスで修業したソムリエがいる。彼に聞いた話では、元は荷運び用の動物を扱う者を指す言葉だった。それが転じて、フランスの貴族がパリの別宅を訪れる際、領地より持っていくワインや食料などの選定から品質管理までを行う責任者を意味するようになった。ソムリエは、数日かけてパリに到着した時、どのワインが最良の状態で供せるかを判断する専門知識が求められた。歴史をさかのぼればワインと馬には深い縁があった。

 サンクゼールの久世良三会長と妻まゆみさんはスキーロッジを営むため北長野の飯綱町に来た。初めはまゆみさん特製のリンゴジャムをささやかに売っていたが、高級食料品、シードル、ワイン、アップルブランデーで知られる世界的なブランドに成長した。サンクゼールは数年前から、隣接する信濃町、それも我が家のすぐそばに新たなブドウ園を開拓中。寒さと病気に強いヤマブドウに接ぎ木したブドウを植えているところだ。

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